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      秋の渓谷

 

 

  表紙のことば

 今年は「暑さが尾を引き、秋が駆け足」という感じになって、情緒のある秋の実感がまだ薄い昨今です。そのせいか、今月号の表紙用の写真の投稿がなく、編集部で滑り止め的に撮っていた「奥多摩の秋風景」を使うことにしました。

埼玉県で生活している息子が帰って来て、久しぶりに親子4人が朝食の卓を囲んだ中旬の日曜日のこと。その後次々と出かける家族のアッシーを務めた車中で娘に「今日はどうするの」と聞かれ、とっさの思い付きで「今日は車が使えるから、奥多摩辺りに行くかな」と応答。その瞬間、「気に入りの御岳の玉堂美術館や清酒醸造元の澤乃井園辺りまで、次号の表紙の写真の候補を撮りに行く」ことが決まったのです。

 掲載の写真は、玉堂美術館の前の、奥多摩の渓流が流れ、目の前に大きな岩、上下流に橋が見える河原で撮ったもの。まだ紅葉には早く、時間も夕方に近くなっていたので、目に染みる景色はなかったのですが、カヌーを漕ぐ若者たちや飯盒炊爨を楽しむ若いグループの表情が明るく、初秋のさわやかさは堪能 できました。

 美術館では、今回は特に75歳頃から82歳までの作品が多く飾られていたようです。玉堂は72歳の時に奥多摩に移り住んでいるので、ここで描いた作ということになります。「渓山紅葉」という80歳の時の大作といい、鴛鴦の顔や柿の実などのこまやかな赤や橙の色使いといい、清澄な美しさは全く年齢を感じさせないものでした。

 二週間経った月末、我が住まいのある多摩方面でも街路樹が色付き始めました。残された一ケ月くらいの秋をそれぞれに楽しみ、感動のシ―ンを次号に投稿して下さい。

 

 [撮影:辻淳二、文:辻 淳二]

 

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