「経営と情報通信」研究会(第13期第2回)記録
文責: 辻 淳二
9月7日(水)に開催、出席者16人、2次会参加5人、会場がいつもより狭い部屋(3号室)だったこともあって、7時には全員が集まって“満席の賑わい”となった。
この回の話題提供は玉置彰宏さん(阪南大学教授)と浜田淳司さん(轄\造計画研究所・数理技術部長)で、当会メンバー有志が中心になっている出版計画(これについては、第12期第1回の研究会にて久保/安藤両氏が構想の説明をしている。本HPの「研究会報告」欄に要旨を掲載中)が今年末に平凡社より出版という具体的な目標に向かって両氏を執筆者として進行している状況を報告し、参加者からの助言や励ましを受けることを狙いとしたものだった。
両氏には、書名(現案であって、変わる可能性あり)を『コンピュータは消えてゆく〜一からとらえ直すIT文明〜』として分担執筆途上の内容の骨子を記したレジメを基に、出版企画(主な対象層とか)と内容の特長や発信するメッセージ等に関するプレゼンをして頂き、それを受けて参加者を交えた質疑・討議を行なった。
この出版企画は、文系の大学生を主対象読者層として新書版で出し、「ITの進歩と社会や企業の変革との関わり」の“これまで”を要約し“これから”を展望し、これに駆動されて「よし、腰を据えて勉強しよう」と発奮する学生を増やすことをめざすもの。題名の『コンピュータは消えてゆく』については、「これからのコンピュータはもっと易しく使える、さらにウエアラブル(身に着けられる)等いま我々が認識しているコンピュータとは違う(外形、使い方)になる」との主張をクローズアップしたものと説明された。
上記の説明の後の、質疑&討議の要旨は次のようだった。
勝亦: 構想はいいが、「始めにITありき」にならぬよう気をつけた方がよいのでは? つまり、これからの人類の重要課題である高齢化とか省エネルギーとかリサイクルとかの「地球を持続させる」ための大きな見方をベースに、「それらの課題の解決にITは?」という位置付けにすれば、IT社会への期待が高まる。また身近かな例として、「国際的な金融とかアメリカの大統領選とかでITがかくかくに使われている」というような話題提供をすれば、想定される読者層の興味を強く惹くのでは。
久保: 企画の初期段階では、文明と文化の両方を論じたい気持ちだったが、新書版で字数も限られることもあって、「文明重視」に絞ることになり残念な気もしている。
浜田: ITは文明との関わりが深いと捉え、文明を主に、文化は軽くと考えた。ただ、文明と文化をきちんと整理して捉えている訳ではなく、これから「主張点に合わせた絞込み」が必要な状況だ。今は、自分が書きたいと思っていることをとにかく書いてしまうことに重きを置いている。
新田: コンピュータ犯罪とかハッカーとかも大きな問題で、解決のメドが立っていない。倫理感の涵養で押さえ込めるものでもないし、「安定させる仕組み」が必要になると思うので、この辺りにも踏み込んで貰えないだろうか。
久保: 若い読者層に「自ら考える」「自ら行動する」ように働きかける向きのコメントも、ぜひ出して頂きたい。
勝亦: 主読者の初学者層に、ITの進歩についての“温故知新”は必要だろうか。
辻: 全体の仕上がりを見て、その辺の記述をコンパクトに絞り込んで、彼らが「このままではダメだ。もっと勉強しよう」と感じるメッセージの部分を強めることは必要になるかも知れない。
新田: アメリカに6年居て、ベンチャー企業を育てる風土が違うことを実感した。向こうでは「確率千3つなのにチャレンジする。失敗を前向きに評価する」、それに対し日本企業は「当社の系列の会社で失敗した人だからダメ」と判断する。このような、「挑戦できるカルチャー」についても着目して頂けるとよいと思う。
また、この日に十分に意見交換できなかったことを補うため、「この本の原稿を以下の玉置さんの研究室のホームページにアップしているので、これを読んでコメントを頂きたい」と皆さんにお願いした。これは、当日欠席された皆さんにも共通のお願いとさせて頂きます。
URL: http://www.hannan-u.ac.jp/~tamaki/ にアクセスして、「新しい本」をクリックする。 − 以上 −