「経営と情報通信」研究会(第13期第3回)記録

                           文責: 辻 淳二

10月24日(火)に開催、出席者13人、2次会参加5人、狭い方の部屋(3号室)だったがこの人数だとちょうど良く、7時には全員が集まって“車座の雰囲気”となった。

この回の話題提供は私自身(日本フェニックス且謦役・顧問)で、『微分の話』と題して昨秋から「仕事を週3日ペースに減らしたことで生まれたゆとりが齎した変化」の体験レポートをした。プレゼン内容の要旨は、「本HP、「目より耳より情報」欄に掲載の予稿(写真、図表などはHPには重いため割愛)を参照。これを基に体験を話した後、次の4つの「論点」を討議テーマとして提示し、討議に入った。

1 「直感力が上がった」のは、「これは面白そうとヒラメいた時にサッと追い掛けるフットワークがよくなった」ことにかなりの部分直結している。

・ 「自分の直感力を信じ、即動く」ことが大切なのでは?

(戸田さんの言う「即応力の経営」の個人版?)

・ 結構“自由人”的な比率が高かった自分にしてこれだけの変化。“組織人”のウエイトが高かった人にはもっと大きな“劇的な変化”があり得るのでは?

2 「直感から自分の関心テーマに行き着く」ための身近な訓練法

・ お客様の要望や苦情を「これは自分の問題」と受け止める

(“当事者意識”で受け止めれば、問題は“宝の山”になる可能性あり)

・ 「朝起きてから勤務先/訪問先に行き着くまでの見聞」で“関心のアンテナ”を立てる

(個人的には、SE研修の現場に行く朝に必ずやるが、結構歩留まりがいい)

・ 「人との“パスワーク”」を屈託なく、労を惜しまずやる

(パスの繋ぎ手に、親戚とか、身内の知人とか、指導している学生とかが関わることもある。そういう時の感動は、殊のほか大きい=創造的ワークは、こういう“異質の連携”から生まれることが多いのでは?)

・ 「自分が生きてきた中でのしがらみや感動」が重なるテーマを掴まえる

(自分との“因縁が重なる”テーマが近寄ってきたら、しめたもの)

3 「組織開発」においてナレッジマネジメントつまり“知識の共有”はそこそこなされるようになったが、そういう組織で“感動とかワクワク感の共有”は両立して進んでいるだろうか。

(このレベルまで行かないとせいぜいがアメリカの二番煎じで、日本の経済社会の世界レベルでの再生には行き着けないのではないか)

4 いま「ビジネスモデル」(意味合いは、ビジネスで儲けられるビジネススタイル?)が話題になっているが、個人にとっては「生き方モデル」が大切なのでは?

(私の場合、「自分の(コンサルタントとしての)ビジネスモデル」を「生き方のモデル」に応用したのだったが[CIM連鎖モデル、CIM= Concept making, Imaging & Mapping 。これをCIA連鎖モデルに置き換えて活用、A= Action ])

 

[Q&A記録]

 上記の「論点」を視野に置きつつ質疑&討議へと進んだが、その要旨はおよそ以下の通りだった。30分足らずの時間だったが、ほぼ全員が発言するという流れになって、「討議を重視しよう」という試みは今回は成功だったようだ。

上野: 討議テーマ1に「直観力が上がった」のは「フットワークが良くなった」と直結とあるが、「上がった」のだろうか。直観力は動物的に生まれながらに備わったもので、「上がる」ものではないと思うが?

辻: 「フットワークが良くなって、直感が当たったことを検証できるケースが増えた」という方が正確かもしれない。

桑門: 組織的な与件の上で考えるのに慣れ、その上で忙しくしていると、「ヒラメキから遠のく」ということはないだろうか。

辻: 組織のしがらみとか縛りとかが、思考の自由を狭めることはあり得ると思う。自分は、例えばSEさんを例に取れば、「お客様のシステム化絡みで難問があって、なかなか解決できない時に、その解決を上司に頼るのではなく、“解決の主体は自分の方”と認識して折に触れて考えているとヒラメく。ヒラメキは、誰にでもあるもの」と認識し、研修などの場でもそう話しているが。

山田: 私は、仕事を終わって会社の人でない人と飲んでいる時にアイデアが出るタイプだ。その時は気持ちがハイになっているせいか、翌日になると半分位は「これはダメ」という位の歩留まりだが。

辻: 自分は、朝起きた時の方が歩留まりがいい「朝型」だ。

上野: 「直観力が上がった」という感触を何が支えているのだろうか?

辻: 「また当たるのでは?」と気持ちが前向きの行動を促しているのが大きいのかも。

黒木: 「好奇心が高まった」ということもあるのでは?

新田: 「文系的な世界に・・」という視点の切り替えも効いているのでは?

辻: 自分は(コンサルタントとしての)ビジネスモデルでも(先ほどの図のように)『コンセプトメイク』を重視しているが、長年やっていても「我ながら、見事なコンセプトメイクができた」というのはそう多くない。それに照らせば、今回の、個人レベルだが「文系的世界が、自分にとっての宝の山」と気付いたコンセプトメイクはかなり出来のいい部類に入る。それと、“時間ができた”こととがうまく重なったという感じは確かにある。

新田: 私も常任顧問になってからゆとり時間は増えたのだが、まだそれを専門分野の掘り下げの方に向けている。“常任”がついているのが自由度を狭めているのだろうか。

辻: 自分の場合、社長の鈴木君に頼んで“会長”と “代表”を外して貰えたから随分動きやすくなった。

上野: 「起きてから仕事場に着くまでの見聞」に関してだが、知人で「毎日、違うルートで通う」という人がいる。これも、一つのやり方だろう。

黒木: 私もバスに乗らずに15分くらい歩くことがあるが、世の中の変化を知るのに役立っている。

辻: (会員の)戸田さんからも、土曜日に板橋の自宅と渋谷のオフィスの行き帰りに歩き、その日の気分でルートを変えていて、いろんな気付きがあると聞いている。

高嶋: 歩いている時に、いろんなことを考えていて、周りを見ていない。その時に思い付くことはあるが、あまり効率的とは言えない状況だ。

辻: 組織開発関連ではいまナレッジマネジメントが企業の関心事だが、「ワクワク感や感動の共有」にまで行き着けないだろうか。そうなった企業は、一歩先に(世界の有力企業にも伍して)行けるように思うが。

鳥山: 「感動」というのが今の若い人に遠い感じで、もどかしく感じている。

浅野: 若い人は、苦労と言うことを知らない。「苦労は、本の中の話としてしか分かっていない」という感じだ。他人との“タイトな関係”を避ける傾向も目に付く。私自身も、言われてみればあまり感動しないように思う。

岩田: 教育のせいもあるだろう。運動会で徒競争で手をつないでゴールするとか、悪平等の方に進んでしまって、ハッスルすることが減っている。

新田: 我々の時代を振返って、「我が社をどうする?」はあっても「国家をどうする?」という思考はなかったと思う。明治の人たちには、これがあった。

上野: 今はハングリーでないから・・。

落井: 学生運動もなくなったし。

高嶋: 昔マイホーム主義が話題になって、そのまま定着してしまった。

石井: それが今は、狭い幸せを求める“私生活主義”になったと言われている。

上野: 結局、落ちる所まで落ちて、もう一度「頑張らなければ、生き残れない/殺されてしまう」というハングリーさに立ち戻る他ないのでは?

[翌日、ご参加の上野さんから次のメッセージが届きました]

  大変参考になるお話でした。特に「自分を信じ、プロとしての出番で逃げない/手を抜かない生き方」はその通りだ、そうしなければ!と再確認しました。

当日話切れなかったことを以下に記します。

1.直感力とひらめき

  この両者は別物と考えて方が良いのではないでしょうか?

  直感力というのは、意識しないで出てくるもので超能力または超常現象と言われるものです。これは、動物が本来持っている能力で、多くの人間は知能の進歩とともに失ったしまった能力だと言われています。

  これに対し、ひらめきは意識下の働きで、集中しているとある時「ふっと名案が出てくる」というのがこれですね。先日の会合で、人により、それが朝だったり、歩いているときだったり、お酒を飲んでいるときだったりしました。

2.「ナレッジマネジメントつまり”知識の共有”の先に”感動やワクワク感の共有”があるのでは?」

  これはそうあることが好ましいのですが、一般的には努力をしてナレッジを蓄積して始めて価値ある共有によるワクワク感が出てくるしかないのです。つまり、知識の共有による喜びは「先憂後楽」型なのですね。

 そのため、各社は「アメとムチ」であれこれと対策を講じているのです。ところが、この先憂後楽の時間差を縮めて成功した例があります。それは、情報サービス業N社の人材情報共有データベースです。個人の得意技術やスキルを登録するシステムですが、技術の登録基準などをうるさく決めずに、自分の得意な趣味やスポーツなどもふくめ、自己PRの場にしたのです。全社員が社内のHP(掲示板)に載せるのですが、「今度一緒にスキーに行きましょう」とか「××の同士募集」なども載ります。そして誰のがアクセスが多かったかを毎月ランキングをして公表します。これですっかり多くの社員の「ワクワク」の対象になってしまったのです。このような条件が整えばいいのですけどね。

 超能力や超常現象の興味深い入門書として、次の2冊を紹介します。

1.「生き甲斐の創造」飯田史彦著 PHP研究所

2.「アウト・オン・ア・リム」シャーリーマックレーン著 地湧社

 

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