12期第3回                 文責: 辻 淳二

 9月8日(水)に開催、出席者11人、2次会参加5人、その内に講師の山田さんの学生時代の同期が3人(計4人)集まって結束の良さを見せた、こじんまりと纏まった会合だった。

 この回の話題提供は山田俊治さん(山武産業システム(株)理事)で、「IMS国際共同研究で感じたこと」と題したプレゼンをして頂いた。

 内容は、89年に吉川東大総長(当時)の提唱でスタートし、その後今日まで継続されている「知的生産システム(Intelligent Manufacturing Systems)」国際共同研究プロジェクトの、日本主導テーマを4年前に山武グループ入社以降キーパーソンとして引っ張ってこられた山田さんによるホットな紹介。プロジェクト全体の概要紹介、自ら「取りまとめ企業のリーダー」として推進されている「生産システムにおける人間―機械組織化の研究 HUMACS=Organizational Aspects of Human-Machine Coexisting System(14企業、14研究機関が参加)」「ラピッド・プロダクト・ディベロップメントRPD=Rapid Product Development(15企業、11研究機関が参加)」の骨子紹介(別掲)を導入部として、日本側のコーディネータ役という立場に立つことで見えた「日米欧の取り組みや文化の違い」などを話して頂いた。

 個人的には、

・ 「各国が共同して、ネットワークを活かして仕事(研究)している」実例の話が聞けて、身近かになった

・ まとめで話された三項目(別掲)が、断片的には聞いていたことだが、矢面に立って 苦労し、その分感じることも多かっただろう山田さんの実感として聞き、リアルに受け 止めた(特に、偏差値教育の弊害についてはもちろん異議なしだけど、「取り戻すのに 30年かかる」という話は衝撃が大きかった)等が印象深く、ほんの一部かも知れないが貴重な体験を共有させて貰ったと感じた一夕だった。

[質疑応答]

久保: OASYSはすごい発明(空いている親指を使ったなど)で、TRONのキーボードはこれで成功したが、「反オープン」で抱え込んだのがまずかった。ソニーが買いに来たが売らなかったのだが、売っていたらどうなったか。

新田: 久しぶりにアカデミックな話を聞いた。自分が思う日米欧の違いは、「欧がコンセプト、米がベンチャーで事業化、日が商品化」。このように分担するとそれぞれの持ち味が活きるのではないか。

山田: 私が付き合ったのは米国ではDENEBくらいで、多くの印象は欧の話だ。カンバンは日本(トヨタ)の創案だが、サプライチエーン管理(SCM)に行く所で米欧がよく研究し、人事交流/一体化にも積極的で、スピードで日本が追い付けなくなっているように思う。

桑門: プロジェクトのコミュニケーションはどのように?

山田: 技術的な中身の話は何とか通じる。メールが、随分とコミュニケーションを支えている。共同の成果もあり、日本が欧の予算化を支援してきて、今度取れそうになっている。ただ、今までは中身に触れるコミュニケーションでなく、年に数回の合同会議の場でスライド/ビデオ等を使うやり方が中心だった。これからは中身に触れるので、言葉のカベは大きくなるだろう。

新田: 日本の良さはどこ?

山田: チームワークは日本が培って来た良さだと思う。アメリカでもReach out(埋め合う)といって重視しているが。

: そう言えば昔、西堀栄三郎さんが第一次南極越冬隊の成功について、「(当時、米から学ばれたのだと思うが)Reaching out が大切」と言っておられたのを思い出した。

久保: ウエルチも、「文書化」や「その気にさせる」を重視している。

山田:  欧は、エルゴノとかソシオとか、心理学者も加わってインターディシプリナリにやっている。

戸田: 日本はやはり「フィジカルドメインでやらないとダメ」だ。つまり、「やってみないとわからない」所で最も貢献できる筈だ。21世紀に向けては、すべてを情報処理に還元し、「設計情報がどこで使われるか」等を伝えることが重要になる。

山田: 私の印象は、少し違う。フィジカルドメインは「言われたことをやる」(機械に置き換えられる)というイメージだ。

[講演要旨]

1 日本(山武)が主導したプロジェクトの骨子

1.1 生産システムにおける人間―機械組織化の研究

<目的>

次世代生産システムにおけるヒューマン・ファクターの在り方を求め、それを実現するための工学的手法を確立する。

<開発項目>

WP1: 人間・機械最適共存システムの設計手法

WP2: 工場組織の社会工学的シミュレーション

WP3: 人間・機械協調作業における情報の組織化

<効果>

直接労働者作業の適正化と工場組織の構造的効率改善

− 現場作業トレーニングコストの低減

− 人為的労働災害の減少

− 直接労働者の離職率の減少

− 製品品質の向上

− 組立加工人件費の低減

 

1.2 ラピッド・プロダクト・ディベロップメント

<目的>(情報ロジスティクスWPの中の日本提案サブプロジェクトの目的)

新製品や製法の開発に際し,設計意図など非幾何学的な特性情報の共有・伝達の効率化を支援し、協調エンジニアリングの生産向上を図る方法論を開発する。

<開発項目>

1) 設計意図言語の応用と機能拡張の実現

2) 知識ベース・マルチメディア応用技術の確立

3) コンテンツベース・コミュニケーションのナビゲータ

<効果>

迅速にしてタイムリーかつ正確なコンテンツベース情報伝達/共有化の実現による

− 新製品の市場投入時間の短縮

− 新製品開発に要するコストの削減

− 開発される製品品質の品質向上

2 まとめ:日本の製造業はこれからどうする?

・ 日本の良さと欧米の良さの最適な組み合わせを思考すべき

・ 先ずは日本のマーケット、次に世界を考える発想ではダメ

・ 教育の抜本改革が必要

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