「経営と情報通信」研究会(第13期第7回)記録

 

                           文責: 辻 淳二

 

 2001年5月15日(火)に開催、出席者11人、2次会参加8人。テーマが幅広だったこともあって、初めて参加、久しぶりの参加が約半数を占め、しかもほとんどの人が討議に参加する結果となって、なごやかに今13期を締め括った。

 話題は、

テーマ&話題提供者:

「20世紀を振り返る読書からの話題提供」

農林中金全共連アセットマネジメント(株)  高嶋宏尚氏、堀江英和氏

  昨年11月(第13期第4回)の研究会合で新田謙治郎さんから寺島実郎著「1900年からの旅」を考察の呼び水として「20世紀の振り返り」の話題提供をして頂いた後の第2弾として、高嶋さん・堀江さんに以下の2冊の書を読んでの話題提供をお願いしたものです。

 1 加藤周一著「私の20世紀」

 2 S・クレーマー著「マネジメントの世紀」

 堀江さんは高嶋さんの職場の同僚で、各一冊ずつ分担、話題の切り口をメモにして持ち寄って、話題提供をして頂きました。

 お話を受けての、質議応答の要旨は以下の通り。

[Q&A記録]

新田: 新ガイドラインとか盗聴法案とか背番号制とかは、米国に駐在した体験から見ると当然の話だ。例えば盗聴は世界レベルでされていて、日本が無防備なのは危険だと感じる。

高嶋: 著者の加藤さんは「民主主義の手続きだけは踏めているが、メリット/デメリットがよく分かっていないので、大政翼賛型に動きかねない。それに気が付いていないのは問題だ」と言っている。

高村: 知識人は全体的に臆病で、歴史の検証を始めてもきちんとした追求ができていない。安保前くらいで終わっている。

高嶋: 倫理観で論じてしまう傾向はある。

高村: 鬼畜米英と戦争放棄は両極端だ。「戦争は絶対起こさない」に徹して、徹底して策を講じることが大切なのだが。

新田: 「真っ正面からこの問題を見ない」のは、教育が気付かせていないツケが廻っているのでは? 先日、「北朝鮮から攻められたら?」との問いに社民党の議員が「降参すればいい」と言っていたのは驚きだった。原爆被投下国であっても、「いざという時は・」の策はいる。加藤さんには、ここまでの思考はないようだ。

高村: そこも含めて、アウトソースしてしまっている。「他国はいい国」とは言えないのに。かっての“軍事的過信”というあつものに懲りて、きちんと議論をしていない。

新田: あの時は天皇の統帥権を楯にし、今はもうその懸念はないけど。むしろ、若い人に「2度と暴走してはならない」との認識が甘くなっているのが気になる。

石井: 若い人が投票に行かない、新聞を読まないのもその表われか。放っておいていいのだろうか。

寺田: 選挙には関心の高い年代で、今も形だけは行くが、入れたい人がいないのがディレンマだ。

新田: 若手議員には、いい意見を持っている人が居る。派閥をぶっ壊さないと。

寺田: 最近、政治が身近かになった。テレビで見るが、財務相などいいキャラクター持っていて、面白いと感じる。

高村: この本は20世紀を真面目に振り返っているが、今はもっと面白さがいるのでは?

高嶋: 海外でも暮らしている知識人だが、体験以上の視野がない感じ。“体制順応”などトーンは一貫しているが、読者は見下されている?

柳下: 「自分も日本人」として論じていないように感じた。ところで、先の憲法第9条を「アウトソースしている」と見るのには異議がある。「相手を認めて、紛争の解決を託す」考え方はあっていい。終戦時に6歳で中国から引き揚げてきた身で、戦争観は“絶対的悪”の自分は、「大規模紛争でも、暴力による解決はすべきでない」と思っている。

高村: 侵略は放棄しても、侵略されるのは放棄できない。どちらかに固まる必要はないのではないか。

柳下: 少数意見かも知れないが、尊重して欲しい。

高村: 戦争放棄は哲学的だと思う。

新田: 話をもう一つの「マネジメント」の方に進めよう。話にあった「知的ワーカーの生産性は上がっていない」というのは違うと思う。90年からアメリカに駐在して、ホワイトカラーの生産性が抜群に上がったのを体験している。それと、日本人で大前さんだけが出ていて、盛田さんがでていないのは何故だろう。最近、盛田さんの遺稿集で60年だいから95年までの講演録を読んだが、アメリカから日本を見て気になっていたことがいろいろと書かれていて感激した。新製品開発、マーケティング、学歴無用論、日米経済協調などなど・・。

高嶋: 「何故、大前さんだけ?」とは思ったが・・。盛田さんは、最後の100年間の年表に「21年、盛田氏生まれる」とあって、視野には入っていたと想像できる。

石井: 20世紀はビッグビジネスが台頭し、実務者の成功物語が学問の対象になった。その後、学者が注目されるようになったと思うが、どの辺で入れ替わっているのだろうか。

堀江: テイラーは理論として経営を考えた。フォードは実践者だった。経営手法としては、これらがあった。どこで切り替わったかは分からない。

新田: デミング、ハマーは学者だ。

柳下: 高嶋さんは「ビジネス書を読まない」と言われたが、この本にはハックスレーやオーエルも出ている。「管理を突き詰めるとこうなる」の例としてだろうか。

鳥山: 読まないポリシーは、どこから?

高嶋: 本は好きだが、ビジネス書のコーナーに行くと気分が悪くなる。読まなくて仕事ができなくなることもなかったし・・。ベストセラーも然りだ。これらよりは、椎名誠の方がずっといい。

寺田: 私もビジネス書に価値を感じていない。「営業上は知っていないと・・」との義務感で読んでいる感じ。

高嶋: 社会人になった頃、上司にビジネス書礼賛者が居て、アンチテーゼになった。ビジネス人は仕事ができることが大事で、本や資格は手段に過ぎないと認識している。

寺田: ビジネス書は眠くなるが、椎名誠は眠くならない。

高村: 19世紀は産業化の世紀、さて21世紀は? 「問題発生していても笑いがある組織が活躍する」世紀であって欲しい。

〜 以上 〜

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