「経営と情報通信」研究会(第14期第6回)記録   文責: 辻 淳二                           

 3月29日(金)に開催、出席者11人、年度末日のせいか直前の欠席者が多く小人数となってしまったが、時代性のある話題で関心の高い人が参加しておられたので議論は活発で、図らずも“視点を変えた発想の訓練をする場”を体験する感じになった。

 この回の話題提供は古屋満佐雄さん(褐ト魅人・代表取締役)、渡邊聡さん(()サイクロン・代表取締役)、柴田幸宣さん(同社企画営業部長)の3人で、『米国のB to B ビジネス先端事例〜会員組織によるB to B バーター取引〜』と題して、サイクロン社が日本で事業展開している「バーター取引をミソとするビジネスモデル」、具体的に、大企業向けの「コーポレートバーター」モデルと中小企業向けの「リテールバーター」モデルについて紹介をして頂いた。

 上記の「話題提供」を受けての質疑応答の要旨はおよそ以下の通りだった。
  (以下、Aは渡邊氏または柴田氏の応答を表す)

[Q&A記録]

黒木: この取引では正価で売るのか?

A: 現金取引の場合の価格で売る。

黒木: 会員のメリットは?

A: 当社のネットワークに加入した会社は、ネットに加入している会社から商品やサービスをトレード円で買って、自社の商品/サービスを他の加入会社に売って決済する。つまり、必要な商品やサービスを現金が出ていかない形で買うことができる。また、このネットワークを新規顧客の獲得に使える。例えば、電話工事のように仕事が減っている業種が、買う必要がある商品やサービスをこのネットの参加会社から買って、支払いは自社のビジネスの工事を参加企業のどこかから受けて支払うことで資金の出を抑える等の活用ができる。

寺田: 会計上はオンバランス計上になる?

A: 「その他流通資産」という科目で計上する。

橋本: 必ずバランスするとは限らないのでは?

A: 二社間の相対ではバランスしない。他のネット加入会社を介した“N対”でバランスする。

橋本: 例えば酒屋の場合、仕入は現金で行なってネットで売るとトレード円が溜まり過ぎることにならないか?

A: ある程度以上溜まったら、その先は現金ビジネスでやることにすればいい。

前田: 昔も、バーターエクスチェンジはあった。その頃は、サービス業間で節税効果でやっていた。それが課税になって、廃れた。いつ頃から課税になった?

A: アメリカでは、早くから「バーターは課税」と明記されていた。

前田: 屋根を直す、そのためにペンキを買う、という辺りのバーターで、地域のリサイクルショップがやっていた。

古屋: インターネットで見た例だが、GEが古くなった家電製品などを出している。

A: 大手企業では、財務のツールに使える。ある会社では、余り気味のプロジェクターを出して、擬似貨幣を得た。このネットでプレマーケティングして価格を決めて、その後で契約して商品を動かすことも可能だ。

橋本: 補償はどうなるのか? 会員の広告会社がホテルを利用する権利をまとめて買っていて、そのホテルがつぶれた時は?

A: 広告会社は権利を持つので、債権を請求できる。

寺田: 中小の時、審査をしないとドロンする所が出るのでは?

A: 防ぐ方法は二つある。一つは、利用限度を決めることで。もう一つは、新たに銀行口座を開くことになるので、その時に登記簿でチエックすることで。

黒木: 貴社が信用保証できればいいが、地域貨幣の信用保証は?

A: A社が倒れても、一社だけなら他の参加企業が困ることはない。

寺田: 加入してすぐ買った会社がダメになった時は?

A: 当社のリスクになる。

橋本: 参加会社の商品やサービスが結局売れないということもあるのでは?

A: 先に商品リストを出して貰う。それで、当社がお客を探してくるというやり方も可能だ。

浅野: 商品を目利きする力は貴社にある?

A: 買ってくれそうな所に打診するやり方になる。

岩田: 擬似貨幣の増減は?

A: 一年で消化するくらいの額を発行する。

浅野: アメリカでは、自己資本による規制はないか?

A: ない。メーカー側のリスクは擬似貨幣が使えない場合で、その懸念がある時は「先に使う」ことから入るのがいい。

寺田: 不良在庫を処分できないとどうなる?

A: 不良在庫が残ると、当社の損になる。

浅野: バッタ屋的にならないか?

A: 処分値をきちんと決めて売る。それで、ブランド落とさないで済む。バッタ屋は長い取引できないが。バーターを利用すれば、いろんなこと、例えばマーケティングもできる。ある下着メーカーは在庫が余ったのをバーターに出したが、市場性なかったので許可をとって東欧に売った。同社は、東欧ヘのプレマーケッティングをしたかったので、ちょうど良かった。

前田: 繊維メーカーも出している。困るのは、日本へ還流すること。

辻: 渡邊社長は、このビジネスに何がキッカケで目をつけたのか?

A: 人材派遣会社に居た時に、親の電話工事業が下降期に入り、ランニングコストがかかるのを何とかしたかった。その時期に、サイトでバーターを知って面白いと思い、飛び出して起業した。アメリカへ行って、国際バーター協会の議長に会って、協力を求めた。始めてみると、確かにいろんな可能性がある。現下の状況下での商社の例だが、ゴルフ場の売却に使えないか検討している例もある。 

古屋: 当社の視点から望ましいのは、不動産業が入ってくれることだ。

A: オフィスが半分余った時に、バーター会社にスペースを出すことはできる。

                                以上
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