「経営と情報通信」研究会(第15期第3回)記録    文責: 辻 淳二                         

月20日(金)に開催、出席者10人、2次会参加人で、松村好高さん『鰍rRA先端技術研究所の近況紹介』と題する話題提供&それを受けての討議を行いました。
日本において、UNIXやOBJECT指向など、後になってソフトウエア分野のデファクト標準技術になる技術に業界の先駆けとなって研究/実用化してきたことで定評のある鰍rRAが、昨年初にその研究開発部門を分社し独立法人としています。そこでこの回は、同社で今どのようなテーマを主に研究しておられるかをご紹介頂き、先端ソフト技術の実用化の見通しを学ぶこととしました。

 上記の「話題提供」を受けての質疑応答の要旨はおよそ以下の通り。

[質疑/討議記録]

[回答者は、講師の松村好高氏、一部、尹宗夏(ユン-ジョンハ)氏

新田: 研究所を経営していく収入をどのように得ておられる?

A: 大きく分けて、本社からの研究委託費と外部受託費からで、昨年度は両者の比率が1対1.2くらい。外部受託関連は、政府系の研究開発支援組織等からの公募に大学の先生との共同提案等で応募し、合格する等によって獲得している。 

新田: 人件費やオフィス費などの固定費も、上記の収入で賄っている?

A: そうです。研究開発部門が社内にあった時は、収支の把握が曖昧とまでは言わないまでも明確な管理はしにくい傾向があるが、別会社化に当たり、本社から見るとこの点でも明確な把握ができるようになった。

高嶋: 20年前に、SRAのソフト分野の先端技術の調査団に参加して、アメリカに行った。ASPENで缶詰めになって、要求定義、つまり、システムアナリストがシステム化要件を頭の中で整理して文書に記述してソフトに落とす所の生産性を上げようというテーマで議論したことを覚えている。当時はツール等も少なかったが、先ほどのお話はツール化はかなり進み、さらに内容的に深く進んでいるということだろうか?

A: 「現在のCASEツールで開発の生産性が劇的に向上したか」という意味では、そんなに変わったとは言えないとの印象だ。問題の軸と時間に応じた技術レベル軸をどのように見るかによって、この生産性の見方が変わってくるように思う。例えば、以前の問題を固定し現在の技術環境で対応することを想定すると、やはり生産性は上がっていることは容易に想像がつくように思う。しかしながら、現在要求されている問題もまた我々が接している技術レベルもより高度な方向に進んでいるから、現時点での問題と現時点でのツールによる生産性を考えると最初のコメントの印象になってしまう。

先ほどお話したASADALを例に取れば、昔はシミュレーションできなかったのができるようになった等は、技術が進歩した具体例と言えるだろう。アプリケーションを作る上で必要な情報が揃ってなくて、進行中に分かるといったことはよくあるが、これを早める支援ツールも進歩した。

高嶋: ハードとかリアルワールドも随分変わってしまった。

A: 所管されていた銀行システムを例に取っても、手続きを記述したドキュメントは豊富になったが、インプリメントする対象は複雑化しているので、ついていくのが大変というのが現実だ。これのツールがあるからと言って誰もが要求定義や設計ができるかという問題について考えると、やはり、答えは「ノー」になってしまう。目次から書かなければいけないケースなど、まっさらな状態での新しいシステム化を考える場合は、やはり、特別な人、あるいは、精通している人しか要件定義や設計ができないということが想定できるかと思う。

新田: アジアとの共同研究に力を入れておられるとの印象を受けたが?

A: ASADALは、韓国の KyoChul Kang先生が「じゅん」を見て、「これは使える」と着想されたことで、連携ができた。

辻: 実用のエレベータ等を作る所でお話された技術を使った事例は?

A: CASEツールを利用して作った例はある。いろいろな機能をobject指向の仕様に拡張して。

高村: ASADALの中に「じゅん」が活かされている?

A: エレベータが動く所を見せる等に使っている。

高村: 具体的に、エレベータやボタンの形態の記述、例えばボタンを丸にするとかの記述はどこで?

A: 色とか形とか、目に見える所は「じゅん」で、関連の記述はprologで書いている。

辻: 「じゅん」は、どういう世界で注目を集めている?

A: 「じゅん」についてのアクセスは、アメリカよりヨーロッパからが多い。ヨーロッパからは、「これを使って製品化したい」との声も強く、フリーソフトにする宣言の中で“「じゅん」を使ったソフトまでオープンにする”と取れる記述があるのを気にしたり、「お金を払っても・・」という声もあったりしている。

吉福: CASEツールとしての効率はどうか? これまでは、メモリが小さいからコードが小さくないと・・といった問題もあったが。最近は、そういう話はなくなった?

A: 自動的にgenerateしたものは時に大き過ぎることもあり得るが、最近はかなりoptimizeきるようになっている。まだJAVAは結構重くて、何とかしないと・・と思っている。実用に向っては、いま、ヘルプデスク・センターを沖縄とか北海道に作ろうと言う機運があり、「コードを入れると顧客情報がパッと出てきて、不具合管理に使えるツールをその用途に実用化しよう」という話がある。

吉福: お話のシミュレーションをやる場合の、建物とか何階建てとかの条件を変えて使う場合の効率は?

A: 環境の記述ができるようになっているので、使いやすい。

辻: どのような用途への実用化をめざしている?

A: 組み込み用途のソフトを第一に考えているので、製造業などだ。

新田: 中国や韓国との共同研究に進んだキッカケは? 「じゅん」が呼び水に?

A: 中国とは、シンポジウム等が入り口で、1988年頃から、こちらから出かけて行って繋がりを作った。1996年からこのシンポジウムの名称変更を行い今年も10月にされるが、中国の人は国外に出にくかったので日本から出かけた。話は余談になるが、政治面では対立関係にあるように見える台中(中台?)関係が、逆は制限が強いものの、台湾の人の中国入国は容易のようだ。また、もともと中国出身の社員だった人が戻った際の支援として、共同研究を行った例もある。欧米とは、企業間での取引き関係はSRA本社が対応しているが、研究機関との連携関係は今は弊社が行っている。

高村: ASADALを通常のアプリケーションにも使うという動き、韓国ではどうか?

A: 韓国ではobject指向はまだまだだ。                                〜 以上 〜

 
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