「経営と情報通信」研究会(第15期第4回)記録 文責: 辻 淳二
11月19日(火)に開催、出席者7人、2次会参加3人で、筆者の『「直感、即行動」は日本を明るくするキーワードなりや?』と題する
ホームページ9月号に投稿した「シニアライフを楽しむキーワードは、直感、即行動」を下敷きにした話題提供で、参加者は少なかったが、議論は「トヨタはなぜ強いのか」から「ゴルフでベストスコアを出した時の状態」にまで及んで、楽しい一夕となった。
上記の「話題提供」を受けての質疑応答の要旨はおよそ以下の通り。
[質疑/討議記録]
[回答者は、講師の辻淳二]
石井: カウンセラーをしている人の講演で聞いた話では、ヒラメク能力は53歳が最も高く、経験から適切に判断する能力は65、66歳で最も高いが、新しいことを発想する力はストンと落ちるそうだ。
山田: 直感力を磨くことが国際競争力をキープする上で大切という話は同感だ。話を聞きながらトヨタの生産システムのことを思い出した。これについては、いろんな人が本を書いているが、その論旨が近年になるにつれて変わって来ているのが面白い。初期(80年代)の本の著者の門田安弘さんは、生産システムのハウツーを本にしている。ところが、最近の、例えば、ハーバード大のボーエン教授が98年にHarvard
Business Review に書いた「トヨタ生産方式のDNAを探る」という論文や、自動車業界の研究で著名な東大・藤本隆宏教授の著書「生産システムの進化論〜トヨタ自動車にみる組織能力と創発プロセス〜」を見ると、注目する視点が変わっている。
ボーエン教授は、「トヨタ式生産システムを多くの会社が採り入れたがトヨタほど成功した会社は出ていない、トヨタが強いのは暗黙知、つまり真似のできない企業文化が根元にあるからだ」と述べ、トヨタのDNAを以下の4つにまとめておられる。
1.仕事のやり方のマニュアルはあるが、その教育はしない。常に、一人一人に考えさせる。
2.できるだけシンプルにブレークダウンする。
3.最初にヒラメクのは個人だが、これを組織の知恵に持っていくところで、アイデアを料理するのに専門家を入れてやっている。この専門家を社内で育成している。
4.管理職には、教育の仕方を徹底的に教育している。
藤本教授も、「トヨタの生産システムの強さの本質は、創発された情報をどう組織にtransitionするかの組織文化にある」とし、「上記のようなやり方で、一人一人の意欲や直感力を引き出していて、それでトヨタは世界で揺るぎない競争力を保てている」と結論づけておられる。
黒木: 「トヨタ式最強の経営〜なぜトヨタは変わり続けるのか」の著者の柴田昌治さんは、「なぜを3回言う」、つまり根源にさかのぼる追求を繰り返す組織文化が変化し続ける強さの源泉と見ておられる。
石井: 「なぜを考える価値観を共有する」という点で金太郎アメ的な組織であることが強さということだろうか。
辻: 花王にも同社独自の「変化を限りなく続ける」企業文化があって、今のような日本企業の衰退局面でも踏み止まっている力になっているように見える。
山田: 花王は、丸田さんが社長の時代に、世の中に先駆けて立体倉庫等を作ったりして、存在感の確かな企業になった。「現状維持は退歩」という考え方が定着していて、絶えざる革新を続けている。ただ、歴史的な積み重ねの点では30年くらいで、トヨタの50年以上というところまでは行っていない。
岩田: ユダヤ人は、「なぜ、なぜ?」を大切にするやり方で子供を育てていると聞いた。それが効いているのか、ノーベル賞の受賞者が多い。
石井: 最近のプレジデント誌に兵庫県で劣等の学校を建て直した話が出ていたが、「ちゃんと挨拶をする」といったことをすごく大切にしている。こういう基本的なことが脳を刺激して、楽しくなるとでてくるホルモンを分泌させるのだろう。先のカウンセラーの人は「挨拶のできない人はいない」と言っておられたが、いま担当しているNECの新人研修の受講者を見るとできていない。周りの人が促さないとダメになってしまうと思って、挨拶をするように懸命に仕向けている。
柳下: 河合隼雄さんの著書「心理療法序説」によると、芸術やスポーツにおいてはリラックスと集中の両立ができた時に最高の効果を挙げられると言う。この間の日米野球では、2人の松井が好対照で、西武の松井の方が両立できていた。自分の例でも、仕事がうまくいっている時はそうだったが、逆の、「夢見が悪いと、一日中気分が悪い」ということもある。今日の話に照らせば、やりたいことを見つけた上でこの辺りの兼ね合いがよくなるとヒラメキも出易くなるということなのだと思う。
山田: その点、自分は気功をやっているのだが、精神の集中がうまくいかない。先生には「集中と緊張は違う。集中とはリラックスすること」と教わっている。要は、「無心になる」ということなのだろう。ゴルフでは、「息を吐きながら打つ」ことでこれができているのだが。「声を出しながら打つ」のもいいようで、そうするとヘッドスピードが出る。「無心に打つ」を悟ったと感じていた時もあって、その時期の「パット数(11、14)」というのが今までの最高記録になっている。
石井: 意識している段階はまだダメということなのか。
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研究会報告
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