12期第1回                 文責: 辻 淳二

 6月2日(水)に開催、出席者14人、2次会参加5人だったが、三年という長きに渡ってしまった第11期を終え、新しい期に入ることができてホッと一息。総会では、会則の一部変更を含めて、大筋事務局案の通り、前期事業報告、決算報告、役員選任、新予算案を承認して頂いた。ただ一点、研究会の当日参加費について、「会員3,000円、非会員5,000円として、料理は現在のランクをキープする」ことが多数意見となり、事務局案(2,500円)を修正することとなった。また、賛助会員について、「会員(法人、個人とも)一口当り4人までが会員費用枠で参加できる」との特典を明記することとした。

 この回の話題提供は松原由高さん(ランセプト(株)社長)で、「世界に通用するソフトウエア開発ベンチャー企業に向かって」と題したプレゼンをして頂いた。

 NECを10年で脱藩した後、外資系のアンガマンバス社でLANの開発技術者として実力を蓄えて、LANのハードメーカとして知られる「アライドテレシス」(これは、外資系ではなく日本の会社)を共同で創業、その後、自分の会社「ランセプト」を設立して現在に至る「根っからのベンチャー人間」。最初の自己紹介の「これらの経歴で獲得したストックオプションや創業者利益があったから、今の会社がやれた」という話が、松原さんの生き方を象徴していた。

 お話の内容は、

 ・ 自社開発のワークフロー・ソフト「LANベンチャー」が、5年間の開発期間に培った運用ノウハウや同種ソフトの開発キーマンのスカウト等の結果、市場の高い支持を得られるものに育ってきた

 ・ これは、各社の著名なアプリケーションソフト(オービック、ヴァル研究所等)に簡単に組み込める「コンポ−ネント型」なのが特長で、低価格で(社員1,000人以下の規模の)ユーザー企業向けのシステムを実現できる

 ・ これをアメリカに売り込んで、エレクトロニック・コマースやコールセンター用のシステムに組み込む動きになっている。これらを突破口に、世界に通用する「開発型ベンチャー企業」に自社を育て、日本の会社が世界で活躍できる道を拓きたいというのが骨子だったろう。

 個人的には、終始熱っぽく、8年前に当研究会で話して頂いた時と変わらない若々しさ、世界を視野に入れた事業ビジョンに感銘を受けた。この事業がぜひ順調に発展して欲しいし、会員の方の会社で同社との連携を検討/推進する企業が出ることも大いに期待したいと思う。(講演レジメの要旨を下に掲載)

[質疑応答]

上野: 「コンポーネント化」の意味を確認したい。貴社で提供している部分がコンポーネントなのか。「(貴社の部分を)奉行シリーズに組み込む」というのは逆のように思ったが。

松原: 当社で提供しているのは、経営ニーズに合わせてビジネス・プロセスを変えるのを容易にする業務フロー管理ソフト(これをビジネスプロセス・オブジェクト=BPOと呼称)という「繋ぐコンポーネント」で、オービックの奉行シリーズのような業務アプリケーション(AP)パッケージを標準的なAPIで連携することができる。現在、20種類くらいのパッケージと連携できることの確認を済ませた所だ。ただ、顧客の用途に合わせてこれらパッケージを動かすAPプログラムを、この管理ソフトに備えた開発ツールを使って提供することもある。

椿: 各APパッケージが共通データベース(DB)を同時に更新するというようなことはできるのか。

松原: それはできない。但し、(例えば)オービックのパッケージ同士でDB共用の制御をしているというような場合は可能だ。

木村: フレームワークは個別(見積作成、見積承認、見積印刷、見積登録など)に作る?

松原: (LANベンチャーの開発支援機能を使って)個別に作る。

石井: 人を選ぶアドレス帖についてだが、ユーザーが既に持っているアドレス帖とは別に作ることになるか。

松原: 固有のものを持っていて、今は個別に対応している。代理設定機能を備えるなど、複雑にもなっているので。NTのドメインで共有させられるので、連動は可能だ。

上野: ワークフローの「4つの標準」を確認したい。

松原: 起票、回覧、参照、承認の4つだ。

木村: 会社でノーツを使っていて、これもワークフロー機能を備えている。どこが違うのか。

松原: ノーツでワークフロー機能を使った人が「使いにくいから」とうちに来ている。APにワークフロー機能を組み込めるのがこちらの強みだ。ACCCESSでもVBでもそれができるが、ノーツは(notesscriptに制約されて)そうは行かない。

木村: ノーツとの併用はできる?

松原: 共存できる。

石井: アドレス帖だけノーツから持ってくることでいいのでは? 貴社のは、ソフトを繋ぐツールを提供されたということでは?

松原: 良さはアプリケーションの延長であること。経営者の考えが変わった時に、APの組み合わせを変えられるので対応がしやすい。

中村: 簡単なのか?

松原: 画面でVBでやれる。「何を作るのか」にだけ気をつけて作ればいいから楽だ。APパッケージにはポンと渡すだけ。今まで100の手間が15位でできる感じだ。

辻: APパッケージとの繋がりは、RPC(Remote Procedure Call)的な手順で受け渡すやり方?

松原: そのようなプロトコールを作りつつある。

上野: 「ビジネスオブジェクト(BO)の時代」のBOの意味は?

松原: 「単機能で良くできているソフトが一杯ある」ことをイメージしている。これらがネットワークでつながって処理をすることを想定している。

上野: BOという言葉がいい。コンポーネント化は正しいと思う。

松原: 学会等でオブジェクト指向を勉強している人とは、血筋が違う感じを持っている。

椿: 適用できにくい領域はあるか。

松原: 今は、1000人以下の規模を対象と考えている。数千人だと、まだ無理だ。

椿: ベルトコンベアー的な所、全くランダムな所もワークフロー使わないだろう。どの辺りが合うのだろうか。

松原: 定型でない所に合うと思う。フレキシブル・マニュファクチャリングで週毎にラインを変えていくとか。

                              − 以上 −

[レジメ]

日本発ー

世界に通用するソフトウェア開発ベンチャー企業に向かって

私の役割と夢

1.日本における開発型ベンチャービジネスの成功事例をつくる。

2.シリコンバレーで年間約900社のベンチャービジネスがベンチャーキャピタルから約15億円(30人のエンジニアが5年間開発のみに集中 できる予算)の投資をうけ、競争力のあるプロダクトをベースに、 ダイナミックに成長していく。そして、そのために必須である優秀 な人材を適宜プロジェクトチームに参加させられる環境が存在す る。 日本の現状とのギャップを、自らのソフトウェア事業創業の経 験をふまえて問題提起したい。

3.新しい企業文化の創出と実践(プロジェクト型企業とバーチャルコーポレーションの実現)

ワークフローソフトの動向

1.運用セキュリティ、運用ノウハウ蓄積のために必要であることが再認識された。

2.USではエレクトロニクス・コマース、コールセンターのシステム構築に組込ま れ始めた。

3.ISO取得企業約10、000社のうち99%は、依然紙ベースの ドキュメント管理。取得後、半年毎の社内監査、3年毎の外部監 査への対応が今のままではできない。電子化が必須。

4.米国のワークフローソフトがいくつか日本へ上陸してきているが、 日本の運用のきめ細かさに対応できない。また、カスタマイズが 難しい。

5.今後、世界的ワークフロー標準化機関であるWfmcにて標準化が推進されていく。

LANベンチャーの強み

1.コンポーネント型で、簡単にアプリケーションに組込めるワークフローソフトで、現在稼動しているものは唯一、しかも、低コストで実現できる。

2.5年間の開発期間に培った運用のノウハウを組込んでいる。(以前アスキー社が3年間ワークフローソフトの開発を試みた。 しかし、約 20項目解決できずそのプロジェクトは中座した。 その時の開発スタッフが来社し、それら懸案事項がLANベンチャーでは解決できているので感激した)

3.日本のアプリケーションソフトへの組込み開発がスタートした。(FXIS、コア、OBC、シャチハタ、ヴァル研、ムトーテクノサービス、ファモティク、その他)

4.国産ワークフローソフトとしての地位を確立してきた。(ワークフローといえばランセプトといったイメージ、ブランド力が徐々についてきた) 今後のソフト開発に必須である、コンポーネント技術の中でも高い評 価を受けた。(IPA、CBOPでの認定)

LANベンチャーの今後の展開とフォーメーション

企画営業

・営業マーケティング・マーケット開拓・パートナー開拓・マーケティングコミュニケーション・教育・プロダクト企画

応用開発

・ワークフロー応用開発・エンジニアリングサポート・ワークフローコンサルティング・プロダクト評価

基盤開発

・LANベンチャーの強化開発・フローサーバ(エンジン)・開発ツール(フローツール、データツール、ユーザツール)・API・WfMCとの連携

ブランド力アップ

USマーケットへの展開(先進マーケットでの評価/ニーズ裏付)

大学との連携(技術の先進性)

CBOPとの協同活動(ビジネスプロセスの追求と普及活動)

LANベンチャーの今後の開発戦略

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