雪の八ケ岳・硫黄岳 山行        瀬川 滋                               


 訳あって冬山をやらない私は冬は専らスキー。今シーズンは4回行った。しかし今年は全くついておらず、1月は大雪に遭遇し、高速道・鉄道共全面ストップし、スキー場も閉鎖。2月は偶々その週だけ特別暖かく、白馬の駅に着いたら雨。スキー場に登ったら雪かも知れないが、その気になれず。両日共、滑らず、仲間と小原庄助ばりの温泉三昧。翌日のみ滑って帰ったという次第。今年の雨男確実とレッテルを仲間から貼られる。このゴールデンウィークが付きを取り戻す絶好のチャンス。

 その長かったゴールデンウィーク。前半は、いろいろ家の野暮用が続いたので、珍らしく近か場でゆっくりと過ごす。後半は八ケ岳登山ということで、3日に法事を済ませるや、その足であたふたと神戸を出発し、夜半八ケ岳の麓に入った。その朝20Cmの雪が降ったとか、季節外れの湿気の多い重い雪に白樺の枝が折れたりたわんだりで、月明かりの中、見るも無残な風情が待ち受けていた。山仲間は大半が朝から入っており、私が到着した時には大方出来上がっていた。

 翌4日は快晴。総勢9人のパーティーが各々テント、シュラフ、ストーブ、食料等を担ぎ、更に私はリュックに大鍋を括り付け、前日積もり増した雪を踏み、赤岳鉱泉(2200m)まで入る。そこは横岳の大岩峰の麓にあり、中でも大同心という大きな岩が今にも落ちてこないかと吃立している。そこでテントを張って、大雪上バーベキュウ。辺り一面の銀世界での肉の味は又格別。我々の山仲間の集まりは頂上で万歳、麓でグルメをやるので「バングル」山岳会というが、その面目躍如という所。


 腹一杯食べると、アルコールが適度に回り、暗くもなってくるので後は寝るばかり。三々五々テントに潜り込みむ。只夜は特別冷え、背中の雪の冷たさが加わり、寒いことこの上無し。ホカロンを持ってこなかったのを悔やむ。夜中起き出し、レインコートまで着込んでシュラフの中で長い夜をまんじりともせず過ごす。

 5日は快晴。他の者も寒さがきつかったのであろう、全員4時過ぎには起き出す。まず火を起こし、暖かいコーヒー、スープを飲んで、ほっと一息。朝食後、八ケ岳の一峰・硫黄岳を目指して出発。傾斜がきつくなってくると、皆アイゼンを履く。新雪にアイゼンがキュッキュッと良く効き、くねくね曲がった夏道をバイパスして斜面を直登。時間稼ぎと同時に気分も爽快。尾根の赤岩の頭まで到着。そこから峰の松目という硫黄の支峰を目指したが、新雪が胸までのラッセルを要求し、取り止め。直接頂上を目指す。

 だだっ広い硫黄岳(2765m)頂上を征し、全員で恒例の万歳。頂上の反対側は噴火口跡への絶壁で、そこは雪庇となっており、先っぽまでいくのは危険。少し手前からこわごわ覗き込む。周囲を見渡すと、南に岩のオブジェの横岳、主峰・赤岳、権現そして阿弥陀岳等々八ケ岳の主峰群、北に天狗から北八ツの山々が青空を背に、雪の白の稜線と岩の黒が対をなして真っ白に並ぶ。

 北向こうには私の百名山達成の山・蓼科が白くちょこんと聳える。南ア、中アもくっきり。360度の白中心のパノラマ。夏山では味わえない絶景。雪山の頂上に登ってみないと味わえない醍醐味。しかし夏山で感動した駒草の群落等高山植物は白い雪の下。山には季節季節の味がある。


 そのまま赤岳鉱泉まで引き返し、アイゼンを外す。早い昼食後、テントを撤収して美濃戸まで来た道を戻る。荷が減っているのと、下りなので足も軽い。そこからは車。その後温泉で汗を流してから、大打ち上げ。

 元々3日から登るというのを、私の家の法事の都合で4日からに変更してもらった経緯がある。もし天気が悪かったら何をいわれていたか知れないのが、3日朝大雪で、4ー5日は晴れだったからばっちり。これで今年の雨男返上し、いつもの晴れ男に戻れるか。そんなこんなで今回の山行もとてつもなく楽しいものであった。

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