ビデオ整理始末記 〜その2〜 高嶋 宏尚
前回は、懐かしい映画などのビデオテープの洪水に堪りかね、“ビデオテープDVD化作戦”を展開するに到った経緯を書いたが、今回は、具体的な作戦の内容などをご報告することとしたい。スペース効率を上げること、そして出来得る限り時間と金をかけずに所有したいソフト(映画やクラシックの演奏、ドキュメンタリーなど)を沢山作ることが、この作戦の基本ポリシーである。
1 ビデオテープ内容のダビング
うずたかく積みあがったビデオテープに、内容の詳細な記録は全くない。整理が苦手な自分の長年の所作による自業自得であるとはいえ、これには往生した。映画などのタイトルがメモられているだけのものがほとんどで、録画時間や、途中でのコマーシャルの有無、記録モード(スタンダードとエクストラの別。これはテープデッキにかければ直ぐに判明はするが)など、コピー作業に必要な情報が全くと言って良いほどなかった。テープに録画した時には内容を記憶した積もりでいたり、後で時間を作って整理しようなどとの考えでそのまま放置されたり、したものばかりである。なかには、映画のタイトルがテープに記されているものの、内容は別のものだったり、まれに録画時間が記されているのに全然あてにならないものがあったりした。自分の杜撰さを改めて認識させられることとなった次第である。
ビデオテープの内容(特に、録画時間、記録モード)が正しく把握されているものなら、DVDレコーダーにビデオデッキを接続して直接ビデオテープの内容をDVDのディスクに落とすことが可能であり、これが作業時間的には一番効率的な方式である。しかしながら、ビデオテープの内容を把握し切れていない状況ではこの方法は取り得ない。ともかく、無条件にテープデッキの内容を、DVDレコーダーのハードディスクに落とし込み、そのうえでDVDレコーダーの機能を駆使して内容を確認し、所要の編集を行ってからでないとDVDのディスクに移し変えることが出来なかった。
ほとんどのテープはT-120であり、エクストラ・モード(3倍)で記録してあるから、1本で6時間の内容である。一旦セットしたら、6時間はアンタッチャブルである。夜寝る前に1本のテープをセットし、朝目覚めるとそれを取り出し、出勤前に別のテープをセットする、というサイクルが続いた。夜、帰宅してから、ハードディスク中の内容を編集し、生のDVDに移した後、ビデオテープを処分する訳である。
人様は夜になると布団で高鼾であるが、我が家のビデオデッキとDVDレコーダーには休息がなかった。24時間のフル稼働に長期間耐えていたのである。かかる様子を見ていた中3の娘が、堪りかねた様子で小生に抗議したことがある。「家で一番働いているのは、ビデオデッキとDVDレコーダーだよ。こんなに休みなく使ったら可哀想だし、壊れてしまう。少しは休みを与えなさい」と。新規に導入したDVDレコーダーにいたく関心があったようである。父が飽きたら自分が貰おうと考えていたフシがあるので、娘の言葉を純粋なものと受け取る訳にはいかないが、それ程酷使したのである。
2 Pioneer DVR77H
電器店から奨められて購入した「Pioneer
DVR77H」には、80 GBのハードディスクが装備されている。DVDレコーダーには、1.FINE(ファイン)、2.SP(スタンダード)、3.LP(ロング)、4.EP(エクストラ)と、4つもの記録モードがある。80GBのディスクには、1.FINEで17時間、2.SPでは34時間の記録が可能であり、3.LPで68時間、4.EPでは102時間の記録が可能となっている。画像データの圧縮率などが違うのだろうとは思うが、専門的なことは判らない。まず、どのモードでビデオテープの内容をハードディスクに落とし込むかが最初の課題である。
FINEモードというのは、大村さんがなさっておられるような、ハイビジョンのような高品質の画像を記録するためのものであろう。高品質の映像と音が享受出来るのだが、記録するメディアの容量を食う。ということは、コストが然るべくかかるということである。もともと我が家にはハイビジョンのソースはない。音にしても、普通のテレビから出てくる音響で大体満足しているのである。幾つかのソースをSP、LP、EPで録画し、見比べてみた。画面がチラついたり、色が変わったりしたら問題だが、SPとLPではそんなに違いは無いように思えた。LPモードでの記録と再生でも、小生にとってはなんとか見られる程の画像と音の質であったと言うのが本当のところである。流石に、EPモードになると品質が落ちるとの感がした。かくして、DVDレコーダーへの落とし込みはLPモードと決定した。
3 生のDVDメディア
次は、使用するDVDである。小生が使うのは4.7 GBの容量のDVD-RとDVD-
RWであるが、DVDメディアには、この他にDVD-RAM、DVD+RW、DVD+Rと、5つもの種類がある。それぞれがどのような特性を持っているか、他のタイプとどこがどう違うのか、それぞれに互換性は無いようであるが、何故こんなに様々なタイプのDVDが存在しなければならないのか、など、実は小生、いまだに良く分からない。分かるのは、RWは繰り返し録画が可能であり、Rタイプは一回だけ録画が可能ということぐらいに過ぎない。−Rタイプのデッキを選択したのも、このタイプが一番普及していると聞いたからであり、ユーザー数が多いほどスタンダードとして安心して使えるのではないかと考えたからに他ならない。また、DVDには記録速度による種類の違いもある。小生が使用しているものでは、1倍速、1〜2倍速対応、1〜4倍速対応の種類があり、4倍速に対応出来るものの方が若干高価である。ただ、画像の品質は1倍速が優れているように思う。
TDK、マクセル、三菱、台湾製のSuper Xなど幾つかの内外メーカーのDVDを買って使い比べてみた。断然に品質が良いと感じられたのは、さすがにPioneerが作っているものであった。自社のデッキに合わせたDVDが開発出来るのだから当然なのかも知れないが、いかんせん高価過ぎた。(ディスカウントした値段でも、小生が常用にしたDVDの5〜6倍の価格であった)それに、秋葉原の電器店の何処にでも置いてある代物ではないようである。ケースも10mm幅で丈夫で立派なのだが、5mm幅のケースでもDVDは十分格納出来るものだから、スペース効率も良くは無い。廉価で、大量に(といっても一回あたり40〜50枚程度のものだが)、何時でも、何処ででも入手出来ることは、小生にとって大事な条件である。残念ながら、Pioneerの採用は見送らざるを得なかった。
他のメーカーのものの品質については、大差ないように思われた。雑誌などの情報ではTDKに定評があり人気が高いとのことであったが、小生が使って見た限りでは、他社製品との有意差は感じられなかった。品質に大差ないとすれば、勝負は価格である。秋葉原のSで入手出来る(あるいは、S以外の店でも売っているのかも知れないが、小生はS以外で見つけたことはない)台湾製のSuper
Xが断然の廉さである。国産メーカーの値段の2分の1から3分の1程度である。余りの廉さに、最初は「大丈夫かな」と恐る恐る使ってみる感じだったが、大量に置いてあるはずのSでも、時々品切れになることがあった。皆が使っているのだと知り、それから積極的に使うようになった。これも詳細な知識はなく恥ずかしいのだが、DVDメディアにはDVD-Rのようなタイプのほか、実に様々なヴァージョンがあるようで、『適合しない機種で使用することが機器の故障の原因になることがある』のようなメーカーの警告が書かれてあるものが多い。また、『for
General』、『for Video』などの表示がなされているものは、ビデオに使っても大丈夫だろうと思えるが、『for
Data』とだけ表示されているメディアもある。これはデータ処理のためのものだろうから、映像には使えないのではないかと、素人は思ってしまうのだが、大丈夫使えるのである。店員の説明では、なにやら税金がからんでいるようなのだが、これもよくは判らない。DVDの記録タイプやDVDメディアについては、素人に判り易い規格の統一が早くなされないものか、と思うのである。
この1年の間に、Super Xも次第に値下がりしてきた。昨今では、1〜4倍速対応のもの10枚入りのスピンドルが1300円弱で手に入る。1倍速のものなら、同じスピンドルが1000円以下で売られることもある。1枚が100円しない勘定だ。この台湾製Super
Xが小生の常用のDVDメディアなのである。スピンドル売りのものにはケースがないから1枚30円程の別売のケースも買う必要があるが、ケース代含めて1枚のDVDメディアが150円程で入手可能なのである(プラスチックのケースについても試行錯誤を繰り返したが、そのことは割愛する)。休日にリュックを背負って秋葉原に出掛け、DVDメディアとケースをまとめて買っているのである。
DVDレコーダーへの落とし込みをLPモードにしたため、DVDメディアへの記録をSPモードにするのは何だか理屈に合わないような気がした。LPではSPの倍の記録が可能であるから、コスト・セービングとスペース効率向上のポリシーにも合致する。LPモードで記録したものと、SP
モードでのそれには、小生が見る限りは大きな差があるとは思えなかった。そこで、DVDメディアへの記録も基本的にLPモードで行うことと決めた。4.7
GBのDVDメディアには、LPモードでは4時間分の録画が可能である。1枚に普通の映画が2本記録できる。1本の映画のタイトルが僅か60〜70円程のコストで所有できる勘定となるのである。