ビデオ整理始末記 〜その3〜    高嶋 宏尚
 

 
 今回は、“ビデオテープDVD化作戦”の編集作業の実際についてご報告したいと思う。作戦の開始にあたり、編集にかかる作業の手順を以下のとおりに決めた。

 1. ビデオテープ内容のDVDレコーダーのハード・ディスクへの落とし込み
   (編集・記録する映画などの内容を「タイトル」と呼ぶ)
 2. タイトルの編集作業(コマーシャル等の削除、チャプター分け)
 3. タイトルのDVD(生ディスク)への落とし込み
 4. DVDへの内容の記載と、格納ケースへの内容表示
 5. タイトル内容の管理簿(エクセル・ファイル)への記録


 1.〜5.の順に作業を進めることにはしたのだが、実際には4.の手順を後回しにし、ひたすらビデオテープ内容をDVDに移し変えることだけを急いだ。一日も早く山積みになっているビデオテープを消滅させたかったからである。4.DVDへの内容の記載と、格納ケースへの内容表示に関しては、2〜30枚程のDVDについて試行的に作業をしてみただけである。そういうことだから、録画済みのDVDは既に500枚を超えて来ているが、格納棚には録画済みだが何ら表示のないケースが溢れ返る状態になってしまっている。従って、ある映画を探そうとする場合には、500枚のDVDの内容を1枚1枚調べざるを得ない。
 
 ビデオテープ内容のDVDレコーダーハード・ディスクへの落とし込み

 我が“ビデオテープDVD化作戦”は、ビデオテープの内容をDVDレコーダーのハード・ディスクに落とし込むことが最初である。自分が所有しているものは勿論、レンタルビデオ屋から借りたテープにしても同じであるし、ケーブル・テレビの映画専門チャンネルから録画したタイトルもまた同様である。ともかく、ビデオテープの内容(あるいはテレビからの録画)をDVDレコーダーのハード・ディスクに落とし込まなくては、何も始まらない。

 映画などのタイトルが記録されたビデオテープを就寝前にビデオデッキにセットし、DVDレコーダーへのダビングをスタートさせる。翌朝、目覚めとともにダビングが終了しているテープを取り出し、別のテープをセット、ダビングをスタートさせて出勤する。帰宅時にはテープ2本分のタイトルがハード・ディスクに記録されていることになる。テープは殆どがT-120で、3倍モードで記録されているから、1本で6時間分が記録されている。1日2本で12時間分の映像がハード・ディスクに記録されることになる訳だ。帰宅してこれの編集作業を就寝時まで続けるのである。昨年の1月から始めて10月になって自分の所有する映画のテープ約200本のダビングが終了するまで、BSや映画専門チャンネルからの録画と、レンタル・ビデオ屋から借りたテープのダビングも含め、休みなくテープ・デッキとDVDレコーダーを働かせたのである。

  小生が所有する“Pioneer DVR77H”は、連続しての録画は6時間が限度となっている。T-120のテープが殆どではあるが、中にはT-140、T-160、T-180のテープもある。これらは3倍モードでは、それぞれ7時間、8時間、9時間の記録が可能であるから、連続6時間が限度の“Pioneer DVR77H”では一辺でテープの内容をハード・ディスクに落とすことが出来ず、二度に分けてダビングせざるを得なかった。衛星放送のドキュメンタリー番組では、6時間を越える長時間のものもある。せめて9時間までの連続録画が出来るような仕様には出来なかったのか、と残念に思う。(他の機種や他のメーカーのレコーダーの連続録画時間の限度がどうなっているかは承知していないが、テープのコピーの為にではなく、長時間番組の記録のためにそう思うのである)

 タイトルの編集作業

  
 DVDレコーダーのハード・ディスクにタイトルが記録されたら、いよいよ編集作業である。作業の主なものは、タイトルに含まれているコマーシャルや番組紹介などの不要部分の削除と適当な時間で区切るチャプター分け、それに映画の製作国、製作年、監督、主たる出演者の確認などである。ハード・ディスクに落ちたタイトルは、サムネイル方式で、タイトルの最初の画像と、記録開始日時、記録モードが表示される。再生にせよ編集にせよ、タイトルを選ぶのに、具体的な画像が見られるサムネイル方式は便利だし、記録開始日時が表示されるので、これをきちんと確認すれば誤ってタイトルを消去してしまうことも防げるとは思うが、出来れば時間表示は24時間制の方が有難かった。小生、AM、PMの表示を見誤って必要なタイトルを消去してしまったことが、一度だけだがある。また、タイトルの記録開始日時だけではなく、どれだけ記録されているのかの時間も併せて表示されると、編集には更に便利になると思うが、これらはPioneer社への要望である。

 いずれにせよ、編集しようと思うタイトルを選び、不要部分を削除し、必要に応じたチャプター分けをして生のDVDに記録するタイトルを作成する訳である。“Pioneer DVR77H”のダビング機能を使うと、タイトルをチャプターに分割し、チャプター毎に消去、入替、結合など様々なことが手早く、自在に出来る。ダビング機能による編集作業は、テンポラリー・エリアで行われるので、ハード・ディスク上のタイトルを消去してしまわない限り、何度でもやり直しが利く。テンポラリー・エリアのタイトルなら、目茶目茶にしてしまったとしても、全消去をして、最初からやり直せばいい。どこのメーカーのものもそうなっているだろうとは思うが、これは有難い仕組みである。

 2時間の映画のタイトルがあったとする。最初に映画が始まる前の不要部分を削除してしまう。映画のタイトル部分を再生して、監督、出演者などを確かめ、「ポストイット」にメモをする。途中にコマーシャル・メッセージの入っていないもの(NHKで録画したものなど)なら、早送りしながら20分毎にチャプターの切れ目を入れて行く。チャプター分けをして、映画の終了後の不要部分を削除すると、編集作業は終了である。2時間のタイトルは最大のスピードで早送りすると1分間で終了する。チャプターを設定する時に早送りを一旦停止させる必要はあるし、監督名の確認などに多少の時間は要するものの、一連の編集作業は大概3〜4分で済んでしまう。実に早いのである。

 映画のタイトルにチャプターを設定したのは、再生時の利便を考えた訳で、一本の映画を通して見る時間がないとか、途中から見たい時などの為に適当な区切りが欲しい、と考えたからである。音楽であれば楽章の切れ目で分けるのが素直であるように、映画のストーリーに合わせ、話の区切りでチャプターを分けるのがいいと思うが、そうすると編集時にストーリーを追っていく必要があり、編集作業に延々と時間を要するようになってしまう。「出来るだけコストをかけずに」というのも“ビデオテープDVD化作戦”の重要なポリシーである。編集作業に長時間を要するのは、コストが嵩むことである。1チャプターを20分間としたのは、「10分毎に分けるのは煩わしいし、もうちょっと長めにするか」という程度で決めたものである。高邁な理念や深い思慮あってのことではない。いわば腰だめで決めたが、実感として、まあいい按配のように思う。

3 コマーシャル・メッセージの削除

 コマーシャル・メッセージのないタイトルだと編集作業は素早く出来てしまうが、コマーシャルの入っているタイトルだとこうは行かない。早送りしながらコマーシャルになったところでチャプターの切れ目を入れ、メモ用紙に「1×、2O、3×、4O、・・・」というように記録していく。チャプター分けが終了したところでコマーシャルのチャプター(×の付いたもの)を削除する訳だが、猛スピードで画面が移っていく中で的確にコマーシャルを捉えるのがなかなかに大変なのである。早送りの速度を緩くすればコマーシャルを見つけ易くなるが、編集作業に時間がかかり過ぎるようになる。白黒の映画にカラーのコマーシャルが入ったものなら、早送りの最中に画面の色が変わった瞬間に停止させチャプター分けするという具合に出来るのだが・・・。従って、コマーシャルの入ったタイトルだと、全神経を集中させてテレビの編集画面を見続けることになる。時間もかかるし、神経も相当に疲れる。映画がフェイドアウトされてからコマーシャルになる場合もあれば、いきなりコマーシャルのケースもある。素早くきれいにコマーシャルだけをカットするのには、タイミングを上手く掴まえる技量も必要であり、とても煩わしい。

 カトリーヌ・ドヌーヴが主演した映画を編集した。例によって目を皿のようにしてコマーシャル探しをしたが一向に出て来る気配がない。小1時間分も早送りしたところでやっとコマーシャルが見つかった。15分から30分の間隔でコマーシャルが入っているのが通例である。途中のものを見逃したに違いないと思った。再度早送りしながらコマーシャル探しをしたが、結果は同じである。「おかしい」と、今度は早送りの速度を緩めてサーチしてみた。結局、映画の初めから50分間程はコマーシャルが入ってなかったのであった。2つ目のコマーシャルは、その20分後に入っていたのだから、「どうしてこんな具合なのか」と、不可解な気持ちである。例外的なことには違いないが、コマーシャル探しに右往左往したお陰で、編集作業にえらい時間がかかってしまった。コマーシャル付きのタイトルを編集する時の難儀の一例である。

 コマーシャルを削除せずに記録してしまう、との考え方も出来るだろう。この方が編集作業はグッと楽になるし、年月を経て再生した時に、録画当時の世の中の様子などを思い出す縁にもなるかもしれない。しかし、いにしえの世の中の様子を思い出すために“DVD化作戦”を展開している訳ではないのだし、不要なものは不要であり、多少の手間をかけてでも全て削除することとした。かつては、ビデオデッキにコマーシャルの自動カット機能が付いたものがあった。テレビの番組内容の音声信号はモノラル、コマーシャルはステレオで送られてくるので識別が可能だった、との記憶がある。ステレオ放送が常識となっている今日だが、進歩した技術で何か上手い仕掛けは出来ないものだろうか、と思う。もしかしたらコマーシャルの自動カット機能が付いたDVDの機種もあるのかも知れないが、寡聞にして小生、知らないのである。
 
4 音楽、スポーツ・ドキュメントなど映画以外のタイトル

 映画についてはストーリーを無視して20分間隔でチャプター分けをすることと決めたが、クラシック音楽やスポーツ中継などに関してもその方式でいくのは余りにも乱暴である。クラシック音楽については曲ごと、及び楽章ごとにチャプター分けをすることを原則としているが、原則どおりに行っていないことも多い。例えば、N響の「第九」とウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートは毎年録画し保存しているが、「第九」は楽章毎にチャプターを分ける。聴き馴染んだ曲なので楽章のタイミングも凡そ判っているから、早送りでの編集作業にも左程の苦労はない。ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートは、衛星放送での3時間の生中継プログラムの録画である。1曲数分のウィンナワルツが次々と演奏されるし、演奏の合い間に日本のスタジオでのゲストの話も織り込まれる。これを丁寧にチャプター分けし、各チャプター毎の曲名、演奏時間などを整理しておくのが望ましいとは思うのだが、それでは編集作業にかなりの時間を要してしまう。再生時に役に立つようにチャプターが付いてさえいれば良い、と考えた。

 ニューイヤー・コンサートで小生が一番聴きたいのは最後の「ラデツキー行進曲」であり、アンコールで演奏される「美しく青きドナウ」である。更に言えば、指揮者とオーケストラのメンバーによる新年の挨拶。それに、ズービン・メータのポストホルンやロリン・マゼールのヴァイオリンのように指揮者が演奏することも稀にあるが、そういった特徴的なことである。これらが直ぐ再生出来るようにチャプターを付け、あとは数曲まとめて2〜30分程度の間隔でチャプターを入れることとしている。こういった方式だと編集作業はかなり楽になり、小生としては、作業の効率性と再生時の利便性を折り合わせたうまいやり方、と思っているのだが、録画したビデオテープのカウンターの数字までもきちんと管理されている大村さんがご覧になれば、「手抜きも甚だしい」との評価をなさるのでは、とも思うのである。

 ポップスのライブ演奏などは、全てこのニューイヤー・コンサート方式である。実はDVDレコーダを導入して最初に編集してみたのが、1981年9月19日にニューヨークのセントラルパークで行われたサイモンとガーファンクルの「伝説のライブ」であった。どの曲も即時に再生が出来るよう1曲毎にチャプターを付けたのは勿論、トークの場面も別チャプターにし、アンコールが始まるまでの会場の様子も分け出し、各チャプターの時間も正確に把握して、と完璧な編集・整理を試みたのである。拍手が続いている中で次の曲のイントロが流れ出す場面などでは、どこでチャプターを切るかで真剣に悩んだりした。わずか90分の番組なのに編集に数時間を要してしまったのである。この方法では山積しているビデオテープを整理するのにとてつもない年月がかかってしまう。これではたまらない。「手抜き方式」に到るには、こういう事情もあったのである。

5 DVD(生ディスク)への落とし込みと内容確認

 編集が終了したタイトルをDVDに記録する段である。使用するDVDは4.7 GBのDVD-Rであり、台湾製のSuper X(1〜4倍速対応)がほとんどである。DVDへの記録モードも様々であるが、1枚のDVDに4時間分の記録が可能なLPモードを選ぶことに決めている。“Pioneer DVR77H”ではLPモードだと高速でのダビングが可能であり、2時間のタイトルなら4倍速対応のDVDには、僅か6分で書き込みが終了する。その後、出来上がったDVDに不具合がないかどうかを確認して完了ということになる。

 “DVD化作戦”開始当初、DVDの不具合有無チェックは手順にはなかった。DVDに不良品があり得ることに思いが到らず、折角録画したのに再生出来なくなるトラブルが発生して、不良品があることに気付かされたのである。不具合有無のチェックはDVDの各チャプターを数秒ずつ再生して行う。面倒にも思えるが、途中のチャプターから再生出来なくなってしまうものもあるから全チャプターを一通りチェックすることとしている。2時間のタイトルではチャプターは6つである。6つのチャプターを順にチェックするのに左程時間は要しない。精々1〜2分程度である。チェックをして不具合が見つかればそれは生のDVDに問題があった所為であり、別のDVDに直ちに再度書き込みをすることとしている。滅多にあることではないが、不良品が出るとやはりがっかりする。駄目なDVDにも大した額ではないとは言え相応にコストがかかっており、しかも貴重な時間と労力を無駄に費やさせたのだから、罪は重い。当然のごとく八つ裂きの刑に、というのは冗談だが、鋏を入れて捨てている。もっと沢山出るようならそれなりの対策も必要かと思うが、前号でもご報告したように、不良DVDの発生確率は1%程度である。

 DVDの不具合チェックで問題がなければ、DVDをケースに収納し、編集開始時に書いておいた「ポストイット」をケースに貼り付ける。本来の手順では、このあと「ポストイット」を参照して、DVDへの内容の記載と、格納ケースへの内容表示を行うことにしているのだが、はじめに記したように、この手順はほとんど手つかずになっている。あとはDVDのハード・ディスクに記録されているタイトルを消去し、その元となったビデオテープを処分することになる。2時間の映画を例に取れば、タイトルの編集が4分程、これをDVDに書き込むのに6分、不具合有無のチェックが2分程、計12分で1つのDVDタイトルの作成が一応終了する訳だ。

今回の報告はここまでとさせて頂く。次回は、4.DVDへの内容の記載と、格納ケースへの内容表示、Dタイトル内容の管理簿(エクセル・ファイル)への記録の手順を報告し、“DVD化作戦”展開中のエピソードなどもご紹介して締め括りにしたいと考えている。 
                             (2004.1.30)

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