2004年に登った「日本二百名山」(その5)
瀬川 滋
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1 8/22 二王子岳 (新潟、1420m) .155
今年は夏休みを取らなかった。本来8月は山の稼ぎ時だけど、土日にも何かと行事があり、この22−23日しか登れないということになってしまった。それで何処にしようかと思案していたら、あいにくというか又というか、前週台風が発生し本土に上陸するという。今年の台風は過ぎ去っても台風一過ということが無く、全く天気が読めない。予報を信ずる外ないが、以前の週間予想ではこの日はおおむね晴れということだったのが、にわかに怪しくなってきた。各地に登る山の候補を準備し、最も台風の影響の少ない山に登ろうとしていたが、結局21日の予報では両日晴れの予報が出たのは新潟のみ。新潟なら、夜行の交通手段もある。そこで、百名山の中で最も好きな飯豊山系に属し、前から登りたいと思っていた二王子岳、杁差(えぶりさし)岳に挑戦することとした。
例によって朝、新潟から車で登山口のニ王子神社に向う。距離はそんなに無いが、道が結構ややこしく案外時間がかかる。神社は、杉の巨木を背にした大変立派な建物。車を置き、水筒に神水を満たしてスタートしたのが10:20。神秘ささえ感じられる深い杉木立を登ると、やがてナラ等の樹林に変る。道も良いし、丁度15分毎に合目表示が現れる。一王子小屋を過ぎて3合目辺りまで登ると新発田の町がすぐそこに見下ろせ、新発田火力であろう発電所が平野の中にそびえているのが異様。その向こうには、日本海が広がる。5合目には独標があり、海上に島が見える。佐渡かと心騒ぐが、それにしては小さ過ぎるなと思ったら、もう少し北にある粟島だということだ。東方には、飯豊連峰のどこかであろう立派な山がでんと控えている。やがて、8合目の小さな湿地帯に着く。時期がもう少し早ければお花畑が広がっていようが、残念ながら草原。斜面に差し込んであるパイプからチョロチョロ水がこぼれ落ちており、これが冷たくてとても旨い。
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やがて神社の祠、小屋を過ぎれば、飯豊全山が現れ頂上。12:40。東側北から南に向って、明日登ろうとしている杁差から門内、北股、本峰、大日と続く2000m級の峰々が連なる大きな山塊がデンと座っている。杁差から本峰までは絵巻のように連なり、その前に大日の巨大な塊が重なって圧巻。10年程前に山形側の小国から入り、天狗平〜門内〜本峰〜川入を縦走し会津の喜多方に出たが、花畑のあるゆったりとした稜線がとても印象的。それで、百名山でどこが良かった?って聞かれたら必ず飯豊と答えているが、その山々が目の前に並んでいる。本当にデカい。その北西側には小さく朝日連峰が連なっており、連峰の間には月山も小さく三角形の顔を出している。南方には弥彦山が日本海に面して連なり、海を隔てて佐渡が大きく横たわっている。 |
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この展望故に人気が高いのだろう、人は結構いる。頂上から杁差側の下を臨むと、すぐ下はなだらかな草地があり地糖が光っている。その向こうには、今日これから行こうとする杁差の登山口である奥胎内に通ずる林道も見える。本当に、この山は越後というより東北の山って感じでとても静か。暫くぼーっとしてから、登ってきた道を下山。神社着が15:40。道が良く整備されており楽勝。 |
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神社から明日の宿泊地奥胎内を目指す。里に下る途中、猿が道を占領していて、車は避けるが道端からじっとこちらを窺っており、かわいい。しかし、カメラを向けるとさっと逃げてしまい、なかなかうまい写真を撮らしてくれない。一旦国道に出て、再び林道に入る。暫く山の中を走ると、突如モダンなスイス風の建物が現れる。地ビールを製造販売している「ビール園」という建物だ。車で辺りを巡ると、しゃれた大きなホテルもある。その間は川を挟んでいるが、大きな川の中にこれまたとてつもなく大きな噴水がしつらてある。回りの山の景と合っているが、それにしてもこんな山奥にどうしてと驚くことしきり。 |
「ビール園」で、胎内牛のステーキ定食を食べる。こんな所でフルコースにありつけるとは。レアーが好きなのだが焼き方を聞かれずウェルダンだったのが惜しまれるが、まずまずの味。本当になんでこんな山中にと思いながら、本日の宿舎である胎内ヒュッテに。ヒュッテは山小屋風だが、その隣に立派なロッジ風の建物が建築中。女性の先客が1人あり、話すと何と百名山99山を達成しているとか。あと北海道の幌尻が残っているが、登山道が先の台風でやられてしまい今年は登れないので飯豊に来たとのこと。明日杁差から山小屋泊で山形側に越えるとか、きゃしゃな体格だがすごい女性がいるもんだと感心した次第。そんな話を交わしながら小屋の親父に先程見てきた疑問を投げかけると、ここは
2 8/23 杁差岳 (新潟、1636m) .156
今日は、待ちに待った飯豊稜線に登る日。元々ここからの往復は、登山ガイドによれば頂上の避難小屋で1泊の2日コースとあるが、そうも言っておれないので日帰りすることとした。朝6時まで待つと取付口までのバスがあるというが、途中何があるかわからないので少しでも早く登るべく早朝に起き出して、ヒュッテを4:30にスタート。半時間程林道を歩いて、取付口の足の松尾根取付に。ここが標高450mなので、1200m程の登りと結構なアルバイト。ブナ林を進むと、いきなりすごい急登。身体が出来る前なのできつい。約40分程登ると視界がぱっと開けて、飯豊の稜線が見える媛子の峰にたどり着く。ほっとする。そこから松が現れ、痩せ尾根の急登が続く。遠くには先日の台風の影響だろう、かなりの水量を持つ滝がゴウゴウと落ちているのが圧巻。その先も、深いブナ林の中の尾根沿いに標高900m位までかなり大きな松が連なる。松が切れると一面ブナ。かなり大きい木もある。そのブナは1200mまで続き、そこから上は潅木帯になる。見通しも良くなる。正面に、とりあえずの目標大石山とその西にピラミダルな形の鉾立山が望める。また、振り返ると、昨日登ったニ王子岳が意外に大きなボリュームで鎮座している。この辺りドウダンツツジがとても多いので、もう少し経てば真っ赤に紅葉してさぞかしきれいなことだろう。
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やがて、飯豊山塊の稜線を成す大石山頂上に。北側正面眼前には朝日連峰が昨日より大きくデンと連なっており、その間に月山が三角形の顔を出している。また南側は、飯豊の主稜線が緑色でゆったりとうねり続いている。この稜線を反対の北に向って緩やかに下る。正面には、鉾立の三角形の奥に目的の杁差が。杁差までの稜線はゴツゴツした岩稜というのでは無く、低い笹またはお花畑でお化粧した、ゆったりしたしたビーナスの肌って感じである。正に、百名山で最も人気のある飯豊そのものの姿を如何無く醸し出してくれている。そんな稜線を一旦下って登ると鉾立峰。休む間も無くまた下ってジグザグ登る。稜線に出てからのアップダウンが激しく、結構くたびれる。しかし、この辺りはずっとお花畑が広がり、疲れもふっ飛ぶ。トリカブトやマツムシソウ、キリンソウ等、秋の高山植物。華麗な夏の花々と違って、色も広がりも大変地味。前に本峰に登った時は夏の高山植物で非常にきれいと思ったものだが、秋の花も飯豊に良く似合う。 |
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やがて、避難小屋を過ぎると9:00頂上。すぐ目の前には蔵王連峰がっどっしりと見え、その南東には吾妻連峰も見える。また、目を西に転ずると、朝日連峰の西端の方に鳥海山がうっすらとこれも三角形の顔を出している。日本海には、小さな粟島とその南に大きな佐渡が。 |
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そして南方には、今年の暑さ故そんなに大きくは無いがところどころ沢に雪渓を抱く飯豊の峰々が続いている。稜線に木がないので、遠く瀬母木山の小屋まで見通せる。この360度の展望が素晴らしい。それにしても、昨日のニ王子と違って人が少ない。元々飯豊は、北アとか南アに比べて人が少ないのも魅力なのだが、北股・門内岳より北はもっと少なく、山々を独り占めしてるって感じ。暫く静かな山を味わってから、元来た道を戻る。 |
鉾立まで戻ると、昨夜小屋を御一緒した女の方も到着。聞けば、5:00に出発したという。女性にしては早い。大石山までの稜線を高山植物や360度の展望を味わいながらゆっくり歩いて名残を惜しんだ後、あの急な尾根道を下って、13:35取付口に到着。たまたま山の監視員の車が入っていたのでそれに乗せて貰い、13:50胎内ロッジに。案外早く下山出来たが、急登の上り下りと稜線のアップダウンで結構くたびれた。ロッジで少し休憩した後、ゆっくり車で新潟に向った。
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