散々の津黒山スキー登山 瀬川 滋
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岡山の最も鳥取寄りの津黒山の麓に集まる山仲間から、スキーでの縦走登山の誘いがあった。かねて山スキーセットを揃えねばと思っていたが、なかなか検討する時間が取れず、諦めていた。しかし今回は、スキーの有無によって下りのコースを変えるので、スキー無しでの参加もOKという。それでは登りと急な下りはスノーシューで、長い林道のだらだら下りだけをスキーにしようと、スノーシューとゲレンデスキー持参で参加することとした。
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津黒山(岡山、1118m)
米子自動車道の陰陽国境のトンネルを越えると、一面の銀世界。小屋近くにスキー場もあるので、道は空けてあってチェイン無しで入れた。こんな場合、いつもは、翌日のことを考えてチェインを巻いてから小屋に入るのだが、暗くなってきていたので諦めて、そのまま小屋に。小屋までの道のりを、先行者が歩いた跡を辿ってそろそろ歩く。しかし、時々ボソっと膝まで埋まってしまう。やっと着いた小屋、北面は積雪と屋根から落ちてきた雪とで全面雪に覆われてしまっている。中に入るともう食事の準備があらかた出来ており、そこに持参の刺身が加わる。本場の天然鯛の刺身が山で食べられると、遅れて到着した者を含めて都合7人大喜び。食後のデザートにと直近に松山から届いた伊予柑を出したら、これも大受け。ここに集まるメンバー、女性も3人いるが夏は沢専門にやっている強の者ばかり。その日は、遅くまで山談義に耽る。
当日朝も、生憎の本降りの雪。この分では縦走は無理と、頂上往復に変更。スキー持参者は私ともう1人。スキーをどうしようかとなったが、とりあえず登山口まで持参してそこにデポし、帰りに少しの区間だが滑って降りることになった。朝食は、鯛のアラの汁で猫飯。家では汁飯、お茶漬けの類は全く食べないが、山ではうまい。全て平らげてもらい、持って来甲斐があるというものだ。腹ごしらえを済ませて出発。ロシア土産に貰ったコサック帽を被ると、これが好評。近くにスキー場があるので、使えるものは何でも使おうと文明の利器・リフトを活用。ところが、スキーを背負って、スノーシューを履いて乗ったものだから、いつもと勝手が違う。降り場で、スキーの時はそのまま滑って降りれるのだが、スノーシューだと底に滑り止めの歯がついていて滑ることが出来ない。従って、小股で走るようにしてリフトの横に逃げなければならないのだが、うまくタイミングが合わない。監視人が気を利かせて、リフトを緊急停止。我輩が降りたら運転再開。リフト上の人から、何事が起こったかと視線を一斉に浴びる。恥ずかしいったらありゃしない。早々と退散して、10:00出発。暫く林道歩き。林道上には積雪が相当あり、踏跡も無く白一色。クロカンスキーを履いた人が先頭に立ち、道を作る。30分程で登山口。そこに2人共、スキーをデポ。仕度をしていると、後ろから3人組が到着。
その3人組と一緒に交代交代にラッセルすれば楽と彼らの出発を待つが、ラッセル泥棒を決め込んでいるのか、なかなか動こうとしない。やむなく出発。そこからは、樹林の中をいきなりの急登。スノーシュー4人、ワカン3人だが、傾斜が急だと雪とのひっかかりが少なくても歩けるワカンが有利。やがて傾斜も緩まってくると、今度は雪に接する面積が多い分沈みが少ないスノーシューが断然有利。傾斜に合わせて代りばんこにラッセル。先頭は本当につらい。ギブアップすれば最後尾に回り、2番目の人が先頭に。5分で交代する人もいる。吹き溜まりに突っ込んだり、ひどい所ではスノーシューが木の根にひっかかって、なかなか前に進まない。吹き溜まりの積雪は3m位。木には赤いビニールテープのマークが短い間隔で付けられており、道に迷うことは無い。有り難いことだ。
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私が先頭の番の時、やがて針葉樹が切れて平らな雪原に出る。もう頂上かなときょろきょろしながら歩いていると、雪にすっぽり埋もれた案内板の頭が現れて、12:10頂上。積雪は2m位か? 辺りは雪で全く見えず、風がきつい。 |
やがて、えいめんどうとグリセードならぬ尻セード。樹林が多いので、枝にスノーシューをぶつけないように一気呵成に滑り降りる。すぐに、スキーをデポした地点に辿り着く。ここからスキーが出来ると、早速板を履く。新雪の上を滑るというより歩くのだが、どうも思う通り進まない。すぐ靴が外れてしまう。家でビンディングを登山靴に合わせて調節してきたのに、どうも変だ。仲間に聞くと、登山靴の縫い目の出っ張りはスキーブーツより浅く、山用のビンディングだと浅くても引っかかるように工夫がしてあるが、ゲレンデ用だと余程きつく調節しないと、新雪では負担が大き過ぎて、はずれてしまうという。締付け用のドライバーの持ち合わせも無いので、止む無く再びスキーを担いで歩く。頂上から30分でスキー場に到着。実に早い。
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ここまで来ると雪が掻いてあるので大丈夫だろうと、再びスキーを履く。しかし、今度はターンで外れてしまう。やはり、ターンの瞬間の負荷に絶えられないからであろう。横滑りとボーゲンで、騙し騙しリフト乗り場まで下る。折角持ってきたスキーを使ったのはこの時だけ。何とも情けない。 車を置いた地点に戻るが、案の定、車輪は雪に埋もれてしまっていて、チェインを着けるのに一苦労。早い時間ではあったが、雪も未だちらちら降っていたので、小屋にも入らずそのまま家路に着いた。今回の山行、初のスキー持参であったが、散々なものであった。しかし普段考えられない大雪の中での雪中登山、大変楽しかった。 |