空振りの紅葉狩り登山と鯖街道「熊川の宿」 瀬川 滋
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11月3日からの3連休は、5日(日)のみがフリーだった。1日だけなのでどこかの二百名山に登る訳もいかず、それなら関西百名山で紅葉狩り登山でもしようと考えた。しかし、今年は紅葉が大変遅れている。ならば出来るだけ北の山をとガイドブックを眺めると、敦賀の野坂岳の名が眼に止まった。古くから山岳信仰で知られた山で、多くの信者が御嶽参りをしたという。そして、頂上付近はブナが多く黄葉が素晴らしいとある。この山、福井県に属しているのにどうして関西百名山に選ばれているのかは良く分らないが、とにかく行ってみることとした。
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皆野坂岳(福井、914m、関西百名山)
敦賀というと、JRはこれまで交流区間だったので直流区間の関西からは列車でしか行けなかった。しかし、JR効果の一環で、これまで琵琶湖周遊は電車では出来なかったのを可能にすべく、この10月のダイア改正を機に直流に切り替えられた。結果、新快速電車が乗り入れるようになり、神戸からも直行出来るようになった。早速、これを使ってみようと時刻表を繰ってみた。しかし、敦賀までは行けたとしても、登山口の駅のあるその先の小浜線のダイアまでは手が付けられておらず、始発で敦賀に向っても接続が悪く、登山口に着くのは昼前になってしまう。これでは按配悪いと、車で出かけることとした。
早朝起き出して、車を飛ばして登山口のある「野坂いこいの森」少年自然の家に向かい、7:30登山開始。道はしっかり整備されている。暫く歩くと、栃の木地蔵という朽ちた2体の地蔵と出会う。そこは水場。敦賀名水としてあるだけあって、喉を潤すと全くクセが無くてとても美味い。やがて、行者石への分岐。その先には大きな岩が見えている。多分、その昔に山伏が岩に登る行をした所だろう。この辺り雑木林が続くが、未だ黄葉も進んでないのに道には落ち葉が。風がそよぐと、結構大きな葉がハラハラと音を立てて落ちる。おいおいもう少し黄葉してから落ちてくれよって注意したくなる。
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ブナの黄が目立ち始めると二の岳。灰白色の幹、枝はブナそのものだが、葉は期待通りの黄葉とまではいってなくて、全体として茶っぽい。しかし所々、秋の到来を主張しているかのように、ブナは黄、かえでは赤と鮮やかな色を見せてくれているのが慰め。三の岳まで登ってくるとブナのオンパレード。相変わらず葉の色付きはもう一つだが、ブナ独特の枝振りが眼に入るのと、落ち葉がまるで絨毯のように敷き詰められていて、踏んだ時の乾いた音が何ともたまらない。 |
前方に見えてきた本峰の三角形の頂点目指して急坂を登り切ると、立派な避難小屋が。戸を開けてみると中には野坂権現の祠があり、そのご霊験を説明した案内までがある。小屋の中に祭ってあるのはとても珍しい。そこを過ぎるとすぐ開けた頂上。9:10着。
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360度の展望。とは言っても靄がきつい。青空の下、近くの山や町は見えるが、本来見えるはずの西の常神半島、北の敦賀半島、東の伊吹・荒島・白山そして南の琵琶湖は何となくそこにあるなあという雰囲気は感じられるものの良く同定出来ない。ここで、先程汲んだ名水を使って朝昼兼用の食事を作って食べる。いくら待っても靄は晴れてくれない。ならば、帰途どこか紅葉していそうな所に寄り道しようとあわてて下る。 |
下山道で出会った人と話すと、今年は夏が遅かったのと秋の冷えが少ないので、先週は白山、一昨日は御在所に登ったがどこに行っても紅葉は駄目だったとのこと。11:00登山口着。時間も早い。何処を回って帰るか、ガイドブックも何も持ち合わせが無いので大思案。小浜の古寺なら紅葉もきれいなはずと考えたが、海沿いで標高が低くて期待薄。ならば、鯖街道を京北に向けて南下すれば比良奥の山中何処かに紅葉スポットがあるのではないかと、とりあえず車をスタート。
鯖街道はその昔、海に面しない京都に若狭の魚を表通りの琵琶湖西岸経由より早く運べると使われた裏街道。朝倉を攻めた信長が浅井の裏切りに出遭って敦賀の金ヶ崎で秀吉を殿に退却を決意し、京都に逃げ帰った時に使ったことで有名。この道は若狭に出る時の近道として何回か走ったことがあるが、途中にある熊川はいつも新道を走って通過していた。しかし道路標識に「熊川宿」とあったので、時間の余裕もあり旧道を回ってみた。すると意外や意外、そこは昔の宿場の景観そのものだった。当時の街道としては少し広目の道幅も路傍を流れる水路も、そして両側の家々も、当時の風情をそのまま街並保存してあるという。ただ、路面が簡易舗装してあるのが何ともアンバランス。蕎麦好きのこと、街道沿いの手打ち蕎麦の看板に惹かれ、連格子の1軒に入っておろし蕎麦を注文。食べると、喉越しが格別旨かった。店先には野菜が無造作に並べてあり、これも買ってしまった。
![]() 熊川宿 |
![]() 朽木宿 |
車を進めると、次は朽木宿。こちらも古い宿場町。熊川より名は通っているが、あまり整備はされていない。それだけに、1軒の茅葺の古い家には格が感じられた。朽木を出た所に、いつもここを通ると立ち寄る店がある。観光客相手の気のきいた店では無くて、バラック建の粗末な店。ここで、鯖寿司、串刺しの焼鯖を購入。味が抜群なのだ。ここから梅ノ木という所まで進んだが、一向に紅葉が進まない。このまま鯖街道を大原まで抜けても紅葉は絶望的と判断し、ハンドルを急遽西に切って「京都のチベット、久多」を訪ね、里の秋を十分味わってから帰神した。