越後二山縦走 瀬川 滋
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6/17 越後駒岳 (新潟県、2003m) 日本百名山
梅雨の最中ではあるが、もしかして晴れるかもと思って、軽い山仕度はしてきていた。案の上、願っても無い快晴。あわててホテルに背広、鞄を預け、始発に飛び乗って一路小出へ向う。途中車中から一瞬、越後駒・中ノ岳・八海山の越後三山が雪を抱いて聳並んでいるのが眺められ、これからの山行に期待を持たせてくれる。
小出から日曜1便運行されるバスで枝折峠へ。梅雨の最中ということもあって、乗客はたった1人。このバス、峠は標高1065mなので、下のバスが通過した栃尾又温泉から歩いて登ることを考えると時間と労力がかなり省けるので大変助かる。
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峠を7:40スタ−トしてすぐ縦走路に。左手には二百名山の荒沢岳のピラミダルな山容が、また正面には駒とその左に目的の中ノ岳が見える。雪渓の雪と黒い山肌のコントラストが目にまぶしい。後方眼下には、銀山平と奥只見湖が光っている。だらだらして、そんなにきつく無い登り道は白く小さなマイヅルソウ、木には白いコブシや赤に近いピンクの山ツツジ、その他名も知らない小さな花が目を楽しませてくれる。 |
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高度を上げていくと、濃い紫のカタクリやピンクのイワカガミが独特の姿で可愛くお辞儀している。やがて、大きな雪原に辿り着く。靴が軽登山シューズで、しかもアイゼンを持ってないので慎重に歩く。この時間帯だと雪が相当緩んでいるので何とかなるが、早朝だと凍っていて危険だったろう。 |
この辺りまで登ってくると、北方に新潟・福島・山形の県境に連なる飯豊の山並みが白く小さく見える。最も好きな山だけに感激。西草の池まで登ってくるが、池は雪にすっぽり覆われている。今年は降雪が少なかった筈なのに、雪が沢山残っている。今年の富士山のお山開きが多雪で、頂上まで登れない位だと聞いたのが肯ける。その雪に木に咲く大き目の花、雪道沿いの小さな花が組み合わさって何とも言えない。
登り切ると駒の小屋で、大勢の人が羽を伸ばしている。ここから上は大雪原。白銀の世界に小屋が映える。本来この縦走路には水が無いということなので、水を沢山担いできた。ところが小屋には雪解け水がふんだんに流れており、これが冷たくてとても旨い。骨折り損のくたびれ儲けだった。ここで昼食。南方すぐ向うに尾瀬・燧岳の特長のある双峰が聳え、それに連なって東側に会津駒のなだらかな峰が見える。手前は平ヶ岳の何処が頂きか分らない位の平らな頂上。とにかく山々々。気持ちがいいことこの上無し。昼寝でもしたい気持ちだが、そうも言っておられないので急勾配の雪原を頂上へ。
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頂上部だけ雪が無い。到着は12:15。小屋では山に隠れて見えなかった西方がばっちり。正に360度の展望。特に、三山のもう一つの八海山の山並みがすぐ前に全貌を現す。噂に違わず、縦走路は鋸の歯のように凹凸が激しい。今回三山縦走も考えたが、明日中に帰神せねばならず、とても無理なので諦めた尾根だ。その向うには上越の山々が広がる。南方は、手に取るような所に中ノ岳から兎岳への縦走路が延びる。結構アップダウンがありそうだ。頂上までは沢山人が入っているが、縦走路には人っ子一人いない。 |
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早速、中ノ岳を目指してスタート。未だ満開とまではいかないが、シャクナゲがピンク色に結構咲いている。この縦走路、アップダウンが激しく結構くたびれるが、遠くの沢の雪融け水の音が非常に大きく聞こえ、疲れの見えてきた身体には心地良い。右手に見えている八海山が徐々に大きく迫ってくる。 |
やがてカタクリ、イワカガミが沢山咲いている道を大きく下り、急登を登り切り、八海山への分岐をやり過ごすと、16:20に中ノ岳の避難小屋。アップダウンに結構エネルギーを消耗し、精も根も尽き果てた。同宿者は、明日下る十字峡から上ってきたという京都から来た1人のみ。彼としばし談笑。彼はちゃんとした夕食の支度をしてきているが、こちらは何しろ急ごしらえ、にぎり飯と簡単なおかずのみ。暖かいスープを分けて貰って生きた心地になり、感謝。明日のご来光を期待して早々にバッタン。
6/18
中ノ岳 (新潟県、2085m) 日本二百名山 No.179
夜中トイレに起きた時、長岡辺りの灯が遠くに見え、空は満天の星。期待が持てる。3:30起床。仕度をしていると、雲の多い東の空が白み出す。
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4:20、山並みからご来光。とは言っても、山の上に薄い雲がかかっていて、太陽はその雲越し。本来のご来光にある光彩は見られずにまん丸。それも淡い墨がかかったような色をしていて、非常に幻想的。そして4:27に、改めてその雲の向うから本来の太陽が後光を伴って顔を出す。2度のご来光を味わって得をした感じ。すぐ横の頂上に登る。歩いていると、見る見るガスってくる。5:05頂上。回りは何も見えない。 |
昨夜の同宿者から、下への道は場所によっては雪渓が残っていて、その雪も腐っているので先人の靴の踏み跡がはっきり見えず道が分らなくなるので注意するようにと言われていた。彼の場合は晴れていて、先が見えていたので何無く来れたようだが、このガスではヤバいなと不安がよぎる。
案の定、雪など全く無かった頂上から下り始めてすぐ雪渓に出くわす。兎岳に縦走する道と、下の十字峡に下っていく道の分岐点辺りだ。縦走路の方は雪渓の向うに見えているのでそこに向えばいいが、下り道は尾根の陰になっていて良く分らない。そこでウロウロ。やっとのことで見つけ出して下る。その先はガスも晴れ、快調に下れる。尾根筋に咲くシャクナゲ、カタクリがかわいいし、右に見えている八海山のゴツゴツした尾根が歩を進める毎に形が変わるのも楽しい。やがて又大雪原。行き先には雨量観測小屋が見えているのでそちらに行けばいいのは分っているが、その手前にブッシュがあり、どこに抜け道があるのかさっぱり分らない。うっかり踏み跡と思しき所に入っていくと、急勾配の谷。これはいけないと引き返し、辺りを慎重に探ってやっとのことで踏み跡を見つける。ガスでも出ていたらとても分らない。百名山であれば多分マークがしてあると思うが、二百名山にそれを望むのは無理。
藪を抜けるとまた雪原。先程来見えていた小屋の所に出ると、5合目日向山頂上とある。前方左に巻機山のどっしりした姿、その向うに上越の山々が連なる。真下には、目指す十字峡がすぐそこに見える。その下流に湖が延びているが、水が少なくて湖岸の斜面は土色で哀れ。今年の水不足が心配。ここから下がかなりの勾配。その下り道にはブナの木が多く、新緑と幹の独特の模様が目を楽しませてくれるだけで無く、急勾配の坂にその腐葉土が足に優しくて助かる。それでも、靴が軽登山シューズのため両足親指の爪先がやられてしまい、とても歩き辛い。9:15、やっとのことで十字峡着。
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この時期はバスがここまでは入っていないので、この先1時間余りの歩きを覚悟していた。しかし、偶々通りかかった車が止まってくれ、乗せて貰った。足が辛いだけに天の恵み。バス停の手前に露天風呂があるというので、そこまで乗せて貰う。人造湖の堰き止めダムのすぐ下の川沿い、周りをよしずで囲んでその風呂はあった。多分このダム建設中に掘り当てたものであろう、管理人も誰もいない。身体をゆっくり休めてから、バス、列車を乗り継ぎ、ホテルで預けてあった荷物を受け取って、帰神の途についた。 |
今回の山行は、本来なら梅雨のまっ最中でとても山には登れないはずが、幸いにも天候に恵まれ、おまけに春の高山植物やご来光まで臨むことが出来、最高のものであった。