米谷 共比古
マイクロソフトのOffice2000が日本でもまもなく発売される。アメリカでは、一部の企業に先行リリースされており、すでに1500万枚出たそうである。
ところで、MS製品に「Y2K問題あり」とのことでパッチが出たりしており、世の反MS陣営は「それ見たことか。MS製品の品質はその程度だ」と囃子立てているが、それほど単純でもなさそうだ。
というもの、MSほどの会社が95年以降に製造したソフトウェアにY2K問題があるというのは、信じられないことだからである。20年前ならいざしらず、この時期にY2Kバグがあるのは、技術者のプライドが許さないはずだからである。当然、設計時点、試験時点でY2K対応は厳重にチェックされていたはずである。にもかかわらず、MS自身が「Y2K問題あり」と認めている。本当に、MSの技術力はその程度のものなのだろうか? 筆者は、その裏にMSのしたたかな戦略があると深読みしている。
ユーザが先を争ってOffice2000を導入する理由を考えてみよう。Office2000がそんなに素晴らしいからだろうか?否である。 最大の理由は、「Y2K問題対応済み」である。これで読めた。「現バージョンOfficeにはにY2K問題あるも、Office2000では解消」となれば、現行Officeにパッチを当てるユーザなどいない。Officeユーザの100%がOffice2000に移行するであろう。これは、MSにとってはまさに「千載一遇の好機」なのだ。すなわち、
(1)膨大なバージョンアップ料を手にできるのは当然として、
(2)現行およびもっと古いバージョンを一挙に葬り去れる。
これは、旧版のメンテナンスから解放されること=膨大なコスト削減を意味する。旧版のメンテナンスからの解放は、パッケージベンダーの見果てぬ夢であったが、MSはこの夢を実現しようとしている!
まさに、一石二鳥なのである。
ベンダーのY2K対応としては、「当社の製品にはY2Kバグはありません」と技術力・品質保証力を誇示するのが常識的である。しかし、技術者のプライドを捨ててもビジネスチャンスに賭けるMSの戦略には舌を巻くしかない。
筆者は、95以降のMS製品には実はY2K問題はないのではないかと疑っている。もしあったとしても、それは、技術力不足で紛れ込んだものではなく、わざと仕込んだものに違いない。なぜなら、MSにとって、Y2Kバグは、「あってはならないもの」ではなく、「なくてはならないもの」だからである。
MSの戦略で、画竜点睛を欠くのは、NT 5.0(Windows2000)が1999年内に出せそうにないことであろう。