ペンリレー


 マラソンのお土産「大根」を巡る小話       鳥山 康見

 3月3日の日曜日、神奈川県の三浦海岸で三浦国際マラソン大会があり、三浦海岸から城ヶ島折り返しのハーフマラソン(21km)に出場しました。当日は曇りで風も強く、すごく寒い日で、完走後はいつも缶ビールを飲むのですが、この日ばかりは寒くて飲む気にならず、人気のホノルルマラソン抽選会もパスして早々に帰途につきました。

 ランナーには楽しいマラソン大会ですが、マラソンに関係の無い人やマラソン大会を知らなかった人達にとって、ランナー達で満員となった電車の混雑ぶりは大きな迷惑でしょう。 マラソン終了、私は会場に近い京浜急行三浦海岸駅の横浜・品川方面行きは混雑するので、反対ホームから一つ先の終着駅でもある三崎口駅へ一旦行き、三崎口駅で乗り換え帰ることにしました。 再び電車が三浦海岸駅についたとき、予想通り駅のホームはランナー達であふれかえっていました。 その時、三崎口から電車に乗って来たマラソン大会を知らない女子高生の集団が電車の中で大騒ぎしました。

「ウッソー、この人達なに−、すっごいひとー」
「ワォー ホームが人であふれてるスゴーイ」
「ウワー、あれなに?、スゴーイ、スゴーイみんなダイコン持ってるよ−、なんでー?、どうしてー?」

 その時、私の後ろの座席で、一杯飲みながらマラソン談義をしていた4、5人のオジサン・ランナーグループの一人が言いました


「今日は三浦海岸でマラソン大会があって、参加賞として大根をくれたのさ」
そして、

「そんなに大騒ぎしなくたっていいんじゃねえの、お姉ちゃん達だって、親からもらった立派な大根を2本も持っているじゃねえの。スカートの下にさ!」

 一緒にいたオジサン・ランナーの仲間達が大笑い、女子高生があっけにとられている間に車内はたちまち、駅のホームにいたランナー達でギュウギュウの満員になってしまいました。

 私は、「これが本当の大混雑(=大根雑;ダイコンザツ)だ!」と思いながら、さっき飲んだ燗酒が体にまわってきたのを感じ、心地良い眠りにつきました。

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