夫の病室にて            新田 るり子
  
  
  

  会話無くただひたすらに活字追う手術まつ間の息子と吾は
  
  

  無事済むとナースの知らせに薔薇生ける夫帰りくる部屋の窓辺に
  
  

  目覚めたる父を見定め戻りゆく息子の肩にも負うものあれば
  
  

  言葉出ぬ夫は白板たぐりよせ大きく書きぬただThank you
  
  

  看病に添えぬ不孝を詫びる娘に共にありしと吾は答うる
  
  

  点滴を引きて廊下を散歩する夫の背中にその意志を見る
  
  
 

 
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