松本東亜のシリーズ投稿(第20回)
現代のこころを詠む
『短歌のページ』
[近詠歌]
トランペットの音出づるまで励みけり暑きこの夏に少女は逝きぬ
[歌人たちが歌った郷土熊本(シリーズ36=江藤 龍一郎)]
(この稿は、歌誌「すぎなみ」2003年12月号(編集責任:松本東亜氏)から転載しています)
逆光にたてがみひかり走り行く馬あり昏む草の稜線
江藤 龍一郎。大正13年(1924)12月26日〜昭和49年(1974)11月15日。歌人。
昭和17年3月、熊本県立済々黌卒業、広島高等師範学校文科(国語科)に入学。昭和
21年卒業。昭和27年歌誌「南風」創刊と共に級友蒲池由之の紹介で、同誌に入会。昭
和33年4月、母校済々黌高校に転勤。昭和49年5月、腎を病む。11月15日死去す。
(江藤龍一郎歌集略歴より)
掲載歌は「江藤龍一郎歌集」(昭和50年11月刊)から採歌した。昭和42年の作品で
ある。他の連作の関係から推察して、高校の国語教師の仕事で「国立阿蘇青年の家」に
研修に行った際の作品のようである。「南風」誌においては、主宰の蒲池正紀に期待をさ
れていた歌人の一人で、阿蘇草原の夕暮れの光景を、絵画的なタッチで陰影深く詠いあ
げている。現代に通じる新しさを感じさせる秀歌である。
「南風」昭和47年11月号に「歌と私」と題して小文を寄せていた。
蝉しぐれの老杉をつらねた大津街道は油照りの中に深々とかげりを濃くしていた。
武蔵塚駅から三の宮、国際民芸館、そして泰勝寺をまわり、川魚を食べようと画津
湖畔まで足を伸ばした一日であった。
(中略)いつどこで作られたという具体的な興味よりも、作品それ自体の雰囲気
なり情緒なりを、なるべく枠をとりはらったところで味わいたい。
一相とは、自己のすがた、心の様相を言います。現代社会において、みなさんは仕事や暮らしに多忙を
極めています。その時々に様々な思いを抱かれることでしょう。
そんな時、自由に一首に心を込め、その思いを大切に歌うようにしましょう。数多く作ることは必要あ
りません。自分の力に応じて一首一首を作ることが肝要です。こころのアロマセラピー、癒しにもつなが
り、きっと豊かな人生が送られることでしょう。短歌を上手になりたい方は、志を高く持って、日々向上
に努めるように続けましょう。
[投稿者の作品]
今月号は一件です。会員の皆さんの参加を心待ちしています(事務局)。
[
松本東亜氏については、ヤフージャパンで検索し、調べることができます。