松本東亜シリーズ投稿(第26回)

 現代のこころを詠む 短歌のページ

                               

[近詠歌]



   

  立ちあがり歩き行くべし花淡き木々にみどりの萌ゆるこの道

 

 
  
 

 歌人たちが歌った郷土熊本(シリー2=梶原 實
 
この稿は、歌誌「すぎなみ」200月号(編集責任:松本東亜氏)から転載しています)  
  

 
  
ふるさとの山の遠近にしろじろと見ゆるは辛夷か朝霧霽れて

  

 梶原 實(かじわらみのる)
明治38年9月2日熊本県生。大正10年16歳のとき啄木歌集に感銘を受け
短歌の道に入る。その後九州花壇で初歩を踏み出し、熊本歌話会、原型、南風に所属する。
昭和40年1月、歌集『牡丹雪』上梓する。昭和61年5月歌集『辛夷の花』発行。
(歌集『辛夷の花』の経歴より。)

作者はお酒の好きな方のようで、そうした作品も多く掲載されていた。老境にあって、
さびしさのやや漂うものに私は心を動かされる。


  一合を飲めば一合の酔ひごごちただちに素直に酒は与ふる( 酒 )

  酒の座を敢て我のさからはぬこの変り様老いのしるしか(ひとり酒)

  女の酌ことさら欲しと思はねば大方はコップでひとり飲みする(ひとり酒)

  再縁の母を貧しく死なしめし我はも妻に何をなせしや(ひとり酒)

 秀歌として掲載した作品は、歌集冒頭に「 辛夷 ( こぶし ) の花」と題してあった。
こうした自然詠をきちんと詠うことができるところに、題材を変えても本質を掴む力量を
私は思った。他に「阿蘇」と題した作品にも佳作が多く見られる。

   みどりに草山なだるる外輪の山の彼方はわれの故郷
   人それぞれ寝鼾たてゐる夜を起きて月に死にたる高岳仰ぐ       
   歌よりも酒が愉しきわが旅か山はみつむるだけの盃


 自宅とは連絡がとれず、歌集印刷所に消息をお尋ねしたところ、作者はすでに他界され
ているようであった。

 
    

【一相一首】のすすめ「経営と情報通信」研究会員の皆さんへ)

 一相とは、自己のすがた、心の様相を言います。現代社会において、みなさんは仕事や暮らしに多忙を
極めています。その時々に様々な思いを抱かれることでしょう。

 そんな時、自由に一首に心を込め、その思いを大切に歌うようにしましょう。数多く作ることは必要あ
りません。自分の力に応じて一首一首を作ることが肝要です。こころのアロマセラピー、癒しにもつなが
り、きっと豊かな人生が送られることでしょう。短歌を上手になりたい方は、志を高く持って、日々向上
に努めるように続けましょう。

  作ってみたい方は、このホームページに送ってください。編集後、掲載します。(松本)

 

[「松本さん紹介ホームページ」の案内(事務局より)]  

  松本東亜氏については、ヤフージャパンで検索し、調べることができます。


[投稿者の作品]

 今月号は一件です。会員の皆さんの参加を心待ちしています(事務局)。


[ 山枡郁子作



 ぼんやりと朝の空に残る月目覚めぬ身体を駅へと運ぶ


 故郷の母より届く定期便荷を解きながら両の手合わす


 新しきステップ踏めぬもどかしさ電車待つ間も惜しみ稽古す


 「強がり」と言う名の鎧身につけて惰性に流れる我を止めん



 
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