松本東亜のシリーズ投稿(第35回)
現代のこころを詠む
『短歌のページ』
[近詠歌]
大根の畑に集ふ女性らの農と語らふ声ぞ明るき
[歌人たちが歌った郷土熊本(シリーズ51=清水 正元)]
(この稿は、歌誌「すぎなみ」2005年3月号(編集責任:松本東亜氏)から転載しています)
大阿蘇は噴煙高く地鳴りする響きの中に匂ふ黄菫
清水 正元
。大正元年、熊本県熊本市土河原町に生まれる。昭和21年九州
大学農学部卒業。昭和21年〜昭和49年、クウェート科学研究所砂漠緑化プ
ロジェクトリーダー。昭和56年九州東海大学農学部教授。昭和63年九州東
海大学定年退職。平成9年10月他界。平成10年6月遺族により「天歴」
(私家版)が上梓される。(歌集著者略歴などから。)
先月号で紹介した清水美志子さんと正元氏とは、ご夫婦である。美志子さん
の歌集の件でご遺族に連絡を取った折、正元氏の歌集も県立図書館に寄贈され
てあることを知った。果たして、美志子さんの歌集の数冊右隣りに「天歴」は
あった。短歌は美志子さんの影響のなかで共に学ばれ、作られて来られたよう
で、地球的な視点に立った緑化の仕事に情熱を注がれた学究と実践の方であっ
たようだ。
水底の砂ふきあげて湧く水は波紋広げて走りゆくなり
伏流水湧きてなりにし江津の湖あはれ湧水日々にかれゆく
はろばろと地下を潜りて湧き出でし湖の清水も日々に涸れゆく
熊本市の上水道は、阿蘇の伏流水を汲み上げて使用している。上流部の都市
化や水田転作などの影響で、昭和50年代頃からこの地下水が枯渇して来たの
であった。科学者としての視点から、この現状を憂い嘆く作品を多く読むこと
ができる。最近、阿蘇山麓や白川中流域の水田地帯において地下水涵養の取り
組みが、関係市町の連携のもとに進められている。その科学的調査研究を精力
的に担っておられるのが、奇しくも同大学工学部の市川勉教授である。この取
り組みを天国から作者も見守っていただきたい。
【一相一首】のすすめ
一相とは、自己のすがた、心の様相を言います。現代社会において、みなさんは仕事や
暮らしに多忙を極めています。その時々に様々な思いを抱かれることでしょう。
そんな時、自由に一首に心を込め、その思いを大切に歌うようにしましょう。数多く作
ることは必要ありません。自分の力に応じて一首一首を作ることが肝要です。こころのア
ロマセラピー、癒しにもつながり、きっと豊かな人生が送られることでしょう。短歌を上
手になりたい方は、志を高く持って、日々向上に努めるように続けましょう。
[「松本さん紹介ホームページ」の案内(事務局より)]
松本東亜氏については、ヤフージャパンで検索し、調べることができます。
[投稿者の作品]
今月号は一件です。会員の皆さんの参加を心待ちしています(事務局)。
[ 山枡郁子作 ]
陽の射して凍えるもの等を温むる空飛ぶ鳥も春待つ木々も
「久しぶり!」笑顔で迎ふる仲間らに我の心の垣根はずれる
灰色の冷たき空に突き刺さるナイフの如き高層ビルよ
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