松本東亜シリーズ投稿(第36回)

 現代のこころを詠む 短歌のページ

                               

[近詠歌]



   

  一つ決め一つ狭まる道なりとこれからのこと子と語り合ふ

 

 
  
 

 歌人たちが歌った郷土熊本(シリー52=白石 悠紀保
 
この稿は、歌誌「すぎなみ」200月号(編集責任:松本東亜氏)から転載しています)  
  

 
  
阿蘇の野の穂薄天につづくゆゑいのちかなしき日にてありけり

  


 白石悠紀保 (しらいしゆきほ)明治43年7月9日熊本県天明町生。鹿児島高等農林学(現鹿児島
大学)林学科卒業。歌歴26年(別に俳句歴17年)、現在歌誌「あけび」「氾濫」
に拠る。(日本歌人クラブ会員)。昭和四十八年第一歌集「露の路」上梓。昭和62
年8月喜寿の記念に第二歌集「無垢の風紋」を上梓。(歌集著者略歴などから。)

 作者はあとがきにこう述べている。
 私の作歌は写生・写実が基本である。そして「古過ぎず」、「新し過ぎず」、「分
り易く」、「深みと叙情がある」、を信条としている。それと元来私の性格が穏和を
好み淋しがり屋であること、私の境遇が社会的にも、経済的にも、家庭的にも、まあ
まあ過不足なく先ずは順調であったことから、追い詰められるような端的な素材に直
面することが少なく、従って鋭い表現や現代的抽象性にも乏しくなるのであろう。
だからこの歌集を読んだとき、平板的で、感情の昂揚が足りないと思われるかもしれ
ない。

 この言葉は、作者の人生で自作をそのように評価し、それを乗り越えようとしてき
た心の軌跡のように私は思った。
 秀歌として掲載した作品は、本来的な写生歌ではないだろう。「いのちかなしき」
の表現は、彼が彼なりに写生の道から学んだ結果としての表現であると、私は思うか
らである。

 この歌集の作品掲載順は逆暦年、すなわち最新作を前にしたものである。昭和61
年作「われらが森」から佳作を紹介しよう。

 鉾先を空に並べてひと山のわが杉の穂は霧を抜き出づ
 わが植ゑて生きて伐ることなけむとも若木の相(すがた)見れば足るもの
 湧き出でて水清冽にせせらぎぬ森成す前の乾きし谷に
 

 
林学を修めた作者の深いまなざしが、作者が育てようとしている眼前の杉に向けら
れている。



【一相一首】のすすめ
「経営と情報通信」研究会員の皆さんへ)

 一相とは、自己のすがた、心の様相を言います。現代社会において、みなさんは仕事や
暮らしに多忙を極めています。その時々に様々な思いを抱かれることでしょう。  

 そんな時、自由に一首に心を込め、その思いを大切に歌うようにしましょう。数多く作
ることは必要ありません。自分の力に応じて一首一首を作ることが肝要です。こころのア
ロマセラピー、癒しにもつながり、きっと豊かな人生が送られることでしょう。短歌を上
手になりたい方は、志を高く持って、日々向上に努めるように続けましょう。

 作ってみたい方は、このホームページに送ってください。編集後、掲載します。(松本)

 

[「松本さん紹介ホームページ」の案内(事務局より)]  

  松本東亜氏については、ヤフージャパンで検索し、調べることができます。



[投稿者の作品]

 今月号は一件です。会員の皆さんの参加を心待ちしています(事務局)。


[ 山枡郁子作 ]



 
太陽を遮るグレーの雲厚く春は一日足踏みしたり


 提出の期限迫りて鼓舞すれど時過ぎゆきて心沈めり


 軒先の梅を見上げて和みたり日ごと蕾のふくらむほどに



 
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