松本東亜のシリーズ投稿(第37回)
現代のこころを詠む
『短歌のページ』
[近詠歌]
夢ありて離れゆくとも三月の野を焼く原に汝を思へり
[歌人たちが歌った郷土熊本(シリーズ53=島田 てい)]
(この稿は、歌誌「すぎなみ」2005年5月号(編集責任:松本東亜氏)から転載しています)
ヒゴタイのむらさきの蜜吸ふらむか阿蘇の草はら瑠璃揚羽とぶ
島田てい
。大正8年4月8日、
一部卒。同4月、小学校勤務。昭和18年12月退職。昭和60年4月、城南短歌会
(くまむた)入会。同年同月、あかしや短歌会入会。
平成12年4月より、しらぬ火短歌会、あし短歌会、熊日歌壇等に投稿。ヤママユ
誌友。平成十六年七月、第一歌集「草匂ふ」上梓。
あとがきには「私の青春時代は戦中戦後の混乱期でした。20〜30代の、女性と
して華やぎの頃を敗戦の哀しみのなか、必死に生き抜いて、気付きたら50歳の峠み
ちでした。縁あって
た)、あかしや短歌会に入会させて戴き、歌の勉強を始めました。」とある。
病棟の南にはるか山裾の吾が家あたり夏の雲たつ 一相とは、自己のすがた、心の様相を言います。現代社会において、みなさんは仕事や [「松本さん紹介ホームページ」の案内(事務局より)] 松本東亜氏については、ヤフージャパンで検索し、調べることができます。 今月号は一件です。会員の皆さんの参加を心待ちしています(事務局)。
病む夫の瞳に映る朝がほの水色の花吾も数ふる
上記は初期の作品だが、島田さんは初めから歌ができており、先のあとがきの背景
があってなるほどと思うわけである。長年短歌をしたいとの思いや、心のかわきがあ
ったのだろう。積極的に短歌会に入会され、また、新聞に投稿されながら、勉強を積
んで来られた。20年年間のまとめで歌集を今回上梓され、その内面の深まりが明ら
かに出ているように思った。
春愁のこころ騒立つこともなくミモザは黄色の花房揺らす
麦の芽の続く野の果て阿蘇の山雪を被きて春日に光る
山を焼く阿蘇の煙りのほの白し霰た走る春野の果てに
成るやふになると歳月重ねつつ葉桜の間に仰ぐ夕月
【一相一首】のすすめ(「経営と情報通信」研究会員の皆さんへ)
暮らしに多忙を極めています。その時々に様々な思いを抱かれることでしょう。
そんな時、自由に一首に心を込め、その思いを大切に歌うようにしましょう。数多く作
ることは必要ありません。自分の力に応じて一首一首を作ることが肝要です。こころのア
ロマセラピー、癒しにもつながり、きっと豊かな人生が送られることでしょう。短歌を上
手になりたい方は、志を高く持って、日々向上に努めるように続けましょう。
[投稿者の作品]
[ 山枡郁子作 ]
仰ぎ見る谷川岳の残雪はまだらに溶けてモノトーンなり
無人駅に立ちて眼を閉じたれば我が肩たたき風が過ぎゆく
我が内の淀み頭をもたげては胸の奥にぞ深く沈めり
故郷の友より異動の報せあり思わぬポストに我が声跳ねたり
窓際に座りし友を彩るは肩上で揺れる春の陽射しよ
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