閑期の百草園での「図らずも」体験    辻 淳二
 


    
    昼前まで小雨降りたる百草園入り口で聞く我れが初客と


 
  静まれる園内に立ち思いたり「図らずも」を期しゆっくり観んと


    木戸番も茶屋の女も人恋しか声を掛ければ会話が弾む


    茶屋に上がり蕎麦を食せるここもまた我一人なりスローな時間


    茅葺きの屋根より落ちる雨しずく緑に浸り我は憩えり
 
  


    園内に華はなけれど気付きたり茶室に似合う小花のあるを


 
  色なくとも形良きもの目に留まるしだれ枝藤棚大銀杏


    葉ぶり良く枝伸ばしたる水生草と紅蓮一輪池を彩る


 
  枝刈られし大銀杏の理由(わけ)を問いたれば老梅への陽射し気遣いしなり


 
  気に入りし竹林徐々に枯れてゆく老人施設の工事の陰に


 
      

 
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