「名刺なき暮らし」一ヶ月目
辻 淳二
退社日の歓送の宴に心満つ我とのことを皆が語りて
受付で「どちらの辻さん?」と問われしに「名刺なき身の」と返事す我は
思い立ち挨拶に出向けば区切り良し心通う若きにエール送りて
奥多摩の山並み晴れて雲沸ける我を祝うか川沿いの朝
朝の道に赤い帽子の隊列あり新入学の孫を想えり
日中に家に我れが居るこの日ごろ妻は惑うらし「曜日分からず」と
「満開よ」と妻呼ぶ声に我も出で裏に移せし山桜仰ぐ
今日観しは「男たちの大和」大局の見えざる国の危うさ問いたり
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