松本東亜シリーズ投稿(第56回)

 現代のこころを詠む 短歌のページ

                               

[近詠歌]



   

  花園に手招きて共に納まらむ一葉の思ひこの秋の日を

 

 
  
   

 棚の歌集 リーその20 歌集 海明  
           

                         昭和五十四年四月十日 発行
                 
著者 斉藤 さいとう 彰詰しょうきち
                  
 本歌集には年譜は書いてないが、比較的長い後記が記されている。これを読めば、
作者の短歌との出会いや家庭環境、職場の状況、交友関係など理解することができる。
 歌集は、昭和38年から昭和52年までの作品444首を収める。作者21歳から
36歳までの15年間の作品である。作者は昭和39年のアララギ安居会にて土屋文
明の指導を受けているが、『同じ生活の基盤に立つ勤労者の叫び交わす声』(短歌入
門)によってアララギに集った仲間と短歌を通して短歌や人間的視野を広げて行った
ようであり、その孤独な心象が作品に陰影深く表現されている。特に、専門技術を要
する職場を題材とする作品は、硬質で鋭い把握があり、厳しい現実の狭間に苦悩し立
ち向かう人間像が顕著であり、特徴的でもある。現在64四歳を越え、病後に作品の
深まりと新しい展開をみるものだが、若い時代の作品を今一度私は読んで置きたいと
思ったのであった。


  ベアリングのきしみを吾は聞きながら帽子をぬぎて又ねぢを切る
                    
昭和三十八年             
 
  吾が仕事君には言はず帰り来て掌のかたき父をひゐる
   カッターを研ぎ上げて単純に満ち足りてポケットにたまりし切粉捨てゐる
                    昭和四十四年

  真鍮を焼き ( なま ) すバーナーの圧力を試す声の中に立ちて孤独なり
  組織の中に不器用に沈黙を守る日々吾が作業服いたくよごれし

                    
昭和四十六年

  吾が待ちし幼き声は暁の空気 ( うるほ ) ふ路地にひびきぬ
  油浮き匂ひたつ入江に帰りくる鉄の船長し逆光の中
                    
昭和四十八年             
 
  訓示する若き上司に吾従きてただ神経を抑へつつゐる
                    昭和五十一年

  桐は細き枝よりむらさきの花落ししばし思ふ機械のこと人間のこと
                    
昭和五十二年             

                 
この稿は、歌誌「すぎなみ」200年1月号(編集責任:松本東亜氏)から転載しています)

  
【一相一首】のすすめ
「経営と情報通信」研究会員の皆さんへ)

 月々、メールでの添削指導(改作例を示しますので、後は作者本人が再考して、完成さ
せる。)ですが、根気よく続けることで進歩します。多くの方の参加をお待ちしています。
 
作ってみたい方は、このホームページに送ってください。編集後、掲載します。(松本) 一相とは、
自己のすがた、心の様相を言います。現代社会において、みなさんは仕事や暮らしに多忙
を極めています。その時々に様々な思いを抱かれることでしょう。  

 そんな時、自由に一首に心を込め、その思いを大切に歌うようにしましょう。数多く作
ることは必要ありません。自分の力に応じて一首一首を作ることが肝要です。こころのア
ロマセラピー、癒しにもつながり、きっと豊かな人生が送られることでしょう。短歌を上
手になりたい方は、志を高く持って、日々向上に努めるように続けましょう。

 作ってみたい方は、このホームページに送ってください。編集後、掲載します。(松本)  
 

[「松本さん紹介ホームページ」の案内(事務局より)]  

  松本東亜氏については、ヤフージャパンで検索し、調べることができます。


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