一日一首(07年2月後半&3月前半)  辻 淳二
 


    
    遊器具の一新されし公園に児等の姿なく西日射しており


    春陽射す花屋に足を留めたりクロッカスの黄の輝き迫り来


    憧れの作家を語りし本を読めば我等と重なる暮しもありき


    春浅き陽射しを浴びんと庭に出づれば向かいの人も出で来て笑顔


    妻が書く税務申告に密着す手引きを読めばできると言いつつ
    

    八十人が集いし高卒五十周年我は小宇宙を生きしと知りぬ


    「変わってない!」久々の友の呼掛けに「ここを除けば・」と額を隠す
 
  


    ガラス玉がプリズムのように陽を弾く山のカフェテラスにカンツオーネを聴く


 
  子等も楽に生きては居らずドライブで共に過ごして我等は知りぬ


    目覚めれば娘からのメール届き居り心和みて湯殿に向う


 
  茶室ある庭に妻と居て言葉なし想うは同じらし病める人のこと
 
  


    建物を見んと出掛けて浸りたりパリが育みし画家たちの息吹きに


 
  春なれど心に影射す日が続く期したる成果は一進一退


    四十分の道を歩いて帰らんと媼は明るく礼を言いたり


 
  医師の友より受けしメールが鏡となりて我等の心の揺れを鎮めり


         
 
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