松本東亜シリーズ投稿(第63回)

 現代のこころを詠む 短歌のページ

                               

[近詠歌]



   

  バス停を覆ひて繁る葉みどりの風に揺れをり西日明るく

 

    

 棚の歌集 リーその= 歌集 川沿ひの坂)  
           

                          昭和58年月30日発行
                  椎の木書房
                 
著者 豊増尚江
                   
 
 
 歌集の後記によれば、第1歌集『恋衣』に続くもので、昭和50年から
昭和57年までの作品を587首を収めている。この間に豊増は、咽喉、
前頚部の手術を2回受けている。教職にあって、闘病しながら独身生活を
送ったようだ。題名の川は、親しんで往来する善福寺川。

私はアララギ特別夏期歌会での面識しかないが、同じ九州出身であるこ
とからか親しくしていただき、いつも帽子を被って居られた年上のやさし
いお姉さん、との印象であった。今、歌集を読みなおして見ると、明るい
表情の奥に仕舞った寂しさとひたむきに生きる心情がよく伝わってくる。
病により既に他界してしまった歌に関る友人として、私の手元に残された
この歌集は、豊増の生の証として大切な一冊である。

   
  いただきに夕べあかねのひとつ雲かがやく背振の山にむかへり
                      
昭和50年
   弟のはたらきに多く頼りたる就く職のなかりし彼の日より三年
                      
昭和51年  
   家族待つ団欒のなかへきみは帰り夜更けてひとり畳拭きをり
   少し傾く帽子のひさしに手を当てて君と渡り行く陸橋の上
                      
昭和52年
   心こめて仕事終へたる夕暮を立ちてわが仰ぐ藤棚の下
                      
昭和53年 
   清らかなる吾が死をねがふ暁はひとり心のいつよりもさびし
                      
昭和54年
   病みがちに過ぎし去年を思ひつつ冬の帽子にブラシ当てをり
                                昭和55年
   独身にて終るのかと問はれしひと言の身に沁みて夜更けの道を帰り来
                                昭和56年
   生徒らに事故無く過ぎし一日と日直日誌にわれは記せり
                      昭和57年
   かたはらに起き臥す人の温もりも知らず過ぎゆく長き歳月

 この稿は、歌誌「すぎなみ」200月号(編集責任:松本東亜氏)から転載しています)

  
【一相一首】のすすめ
「経営と情報通信」研究会員の皆さんへ)

 月々、メールでの添削指導(改作例を示しますので、後は作者本人が再考して、完成さ
せる。)ですが、根気よく続けることで進歩します。多くの方の参加をお待ちしています。
 
作ってみたい方は、このホームページに送ってください。編集後、掲載します。(松本)  
 
一相とは、自己のすがた、心の様相を言います。現代社会において、みなさんは仕事や
暮らしに多忙を極めています。その時々に様々な思いを抱かれることでしょう。  

 そんな時、自由に一首に心を込め、その思いを大切に歌うようにしましょう。数多く
作ることは必要ありません。自分の力に応じて一首一首を作ることが肝要です。こころ
のアロマセラピー、癒しにもつながり、きっと豊かな人生が送られることでしょう。
 短歌を上手になりたい方は、志を高く持って、日々向上に努めるように続けましょう。


[「松本さん紹介ホームページ」の案内(事務局より)]
  

  松本東亜氏については、ヤフージャパンで検索し、調べることができます。


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