松本東亜シリーズ投稿(第65回)

 現代のこころを詠む 短歌のページ

                               

[近詠歌]



   

  田のみどり川の青さも深まりぬ吾がひと夏は早く過ぎゆく

 

    

 棚の歌集 リーその= 歌集 芽吹く木草)  
           

                          昭和62年10月21日発行
                  椎の木書房
                 
著者 小川謁夫
                   
 
 
 作者の短歌の出会いは、西日本新聞の読者文芸欄歌壇(土屋文明選)中
の作品を読んでのこと。自分でも歌を作りこの欄に投稿するようになった。
22歳のころであった。作者は歌集のあとがきに次のように書いている。

炭鉱の街に生れ、当然のように炭鉱夫となった私は、歌との出会いによ
ってそれまで考えてもみなかった世界があることを知った。特に土屋文明
歌集『山下水』に出会ったときの驚きは新鮮であった。生活の詠まれてい
る歌は繰り返し繰り返し読んだものである。

炭鉱に働く作者であったが、斜陽化した産業界の流れを受けて、昭和37
年妻子と共に上京する運命を選んだ。

 本歌集は30年から40年までの392首を収めているが、直向な青年の
姿が真摯に歌われており、時代は変わっているが、強く胸に迫るものがある。
短歌の原点がこの歌集の根底にあると改めて思った。

   落盤よりわが逃れ来て歪みたる鉄帽なでつつ汗にじみくる
                      
昭和32年
   斯くしつつ胃を病めるかな地下水にずぶ濡れの日は立ちて飯食ふ
                      
昭和33年  
   右腕の擦り傷にわが唾液塗り発破にて崩しし硬(ぼた)積み急ぐ
                       昭和34年
   芽吹き来る木草に対へば幸せのわれをめぐりてあふふる思ひ
                      
昭和34年 
   わが貧を知りて去るあり知りてよりなほ慕ひくる君あはれなり
                      
昭和35年
   君とゐてたまゆら思ひき落盤に明日は死にゆくわれかも知れず
                                昭和35年
   夕ぐれはむづかりて泣く児を負ひて病む妻のため粥を炊きをり
                                昭和37年
   拭けど拭けど汗吹き止まぬこの夕べ食塩ふふみてハンマーを振る
                      昭和37年
   ハイヒールはきたる妻のよろけるを振返りつつ子は逃げて行く
                      昭和38年   

 この稿は、歌誌「すぎなみ」20010月号(編集責任:松本東亜氏)から転載しています)

  
【一相一首】のすすめ
「経営と情報通信」研究会員の皆さんへ)

 月々、メールでの添削指導(改作例を示しますので、後は作者本人が再考して、完成さ
せる。)ですが、根気よく続けることで進歩します。多くの方の参加をお待ちしています。
 
作ってみたい方は、このホームページに送ってください。編集後、掲載します。(松本)  
 
一相とは、自己のすがた、心の様相を言います。現代社会において、みなさんは仕事や
暮らしに多忙を極めています。その時々に様々な思いを抱かれることでしょう。  

 そんな時、自由に一首に心を込め、その思いを大切に歌うようにしましょう。数多く
作ることは必要ありません。自分の力に応じて一首一首を作ることが肝要です。こころ
のアロマセラピー、癒しにもつながり、きっと豊かな人生が送られることでしょう。
 短歌を上手になりたい方は、志を高く持って、日々向上に努めるように続けましょう。


[「松本さん紹介ホームページ」の案内(事務局より)]
  

  松本東亜氏については、ヤフージャパンで検索し、調べることができます。


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