一日一首(07年10月後半&11月前半) 辻 淳二
デジカメにすぐに慣れたる孫は自分の壁に貼りたる絵を撮り始む
孫は我を薄暮のベランダに誘いたりフラッシュをいま試さんと言いて
雨の夕にギターの調べは馴染むらしピアノと協奏のリサイタルに浸る
バラ一輪淡きピンクに咲きたるがどんより朝の心の救い
ボストン紙の松坂評は「ジャストイナッフ」我が受け止めは「終り良ければ」
降り立てば広々として空気よし兄眠り給う郊外の地は
嬉しき時泣かれしと聞く兄を想い手を合わせたり雨の墓前に
詣でし後語らいたるは病みて後も明るくありし兄貴分のこと
我が車となりて四年で二万キロ故障も事故もなきを喜ぶ
同期会の旅の企画を皆に送る誰から来るか良き反応が
忘れ物を取りに出向きて店主より蕎麦を貰いしは思わざること
豪腕と呼ばれし人の言葉足らず振り回されたる傷を思えり
若き日に顧客側にて我が仕事を導き賜いし兄逝きにけり
近作の絵を添えられし年賀状が楽しみなりきここ数年は
輝ける黄色に魅かれ庭に出れば空は一点の曇りなき青色
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