[シリーズ投稿・枚方通信(その7)]
“STOLEN SUMMER” 丸中 正量
はじめに
8月某日、“Stolen
Summer”という映画を観た。「夏休みのレモネード」という邦題だが、日本では8月から9月にかけて限られた都市のみで巡回上映される小品だけに目に留まりにくい。シカゴのこどもの天真爛漫な姿勢と行動が、結局、大人たちの固定観念や建前・形式主義を打ち崩し、やがてユダヤ教とキリスト教の違いさえ乗り越えさせたという物語で、涙と笑いを誘う夏休みの思い出深い映画となった。
http://www.mediasuits.co.jp/lemonade/
それにつけても久しぶりの英語学徒は、原題名の“Stolen
Summer”の意味合いがわからず、識者に訊ねたところ、「期待しなかったような、充実した夏のこと」と答え、さらに、ネイティブにも確認されたらしく、「盗んだ果実は美味である、の stolen
fruits are tastyの 意味」と教えられた。映画配給会社は、「夏休みのレモネード」と気のきいたわかりやすい題名にしたわけだ。
私にとっての“Stolen
Summer”
さて、私にとっての、この7〜8月にかけての“Stolen
Summer”を三つ。
「今年は“鬼門”がフィーバー」のその後
前回「枚方通信(その6)」で、「鬼門」の方位の「丑寅」に当たる、「近鉄バッファローズ」と「阪神タイガース」の活躍を6月末で報告した。7、8月と2ヶ月を経過すると様相は一変した。近鉄は優勝争いから脱落したが、阪神のフィーバーは関西圏から全国規模へと拡大し、また社会現象化したと言えよう。
阪神は、7月8日、通算76試合目で両リーグ史上2番目という最速のマジック(M49)を点灯した。星野監督は選手の精神力(ひたむきさ)のゆるみを警戒して手綱を緩めず、選手も「一戦必勝」の合言葉を繰り返し緊張感の継続に腐心した。東京ドームをも半分以上埋め尽くす阪神ファンの急増は留まる所を知らず、今や全国規模となった。
ビールやタバコはもちろんチーズからベビーカーに至るまで縦縞の阪神仕様の各種商品が出回り、阪神関連書籍(*付表)が店頭にあふれ、ネオンサインや看板までも塗り替えられ、商店(街)や企業による応援セールの火蓋がきられ、優勝パレードの誘致合戦(大阪・尼崎・西宮・芦屋の各市)まで繰り広げられると、いよいよ阪神優勝が日本経済のデフレ脱却を促すという説が実証される勢いを示し始めた。オールスターは9ポジションを独占し、「タイガースのためのオールスター」となった。一時は早ければ8月中にも優勝確定かという観測さえ流れた。
ところが、高校選抜野球のために阪神が甲子園を明け渡す約3週間(8月5日〜25日)、例年死のロードと呼ばれるが、なんと今年は4勝11敗(2割6分6厘)と過去10年来最悪の成績で長旅を終えた。長丁場のペナントレースに好不調はつきもの、故障者や体調不良者が続出して投打に軋みが生じ、前半戦の快進撃の神通力が失せてしまった。元の阪神に戻った感じもあるが、ファンも強さばかりが目立つ優勝ではなく、ハラハラさせる攻防が好きと負け惜しみのファンに戻らざるを得ない。
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6月末現在(72//140試合消化) |
8月末現在(115/140試合消化) |
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球団 |
戦績 |
現 況 |
戦績 |
現 況 |
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近鉄 |
42勝29敗 |
同率首位 |
64勝51敗2分 |
3位、首位争いから脱落首位との差6.5ゲーム首位のマジック(M ) |
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阪神 |
50勝21敗1分(7割4厘) |
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76勝38敗1分 |
首位をキープ |
「大阪トリプル優勝期待」のその後
85年(S60年)は、<阪神ガイガース>の優勝に、選抜高校野球は<PL学園>、そして都市対抗は<ニッセイ>が連なって、奇しくも大阪勢が夫々優勝した。今年も、好調の阪神に牽引されて18年ぶりの大阪トリプルVの再現を密かに期待した。
前回の「枚方通信(その6)」を投稿した6月末時点では、高校野球も都市対抗も大阪代表が決まっていない段階だった。その後、先ず、昨夏は予選で敗退し、その屈辱をバネに昨秋の日本選手権で優勝したニッセイが、今年もすったもんだの末に、7月11日、漸く大阪市第三代表をつかんだ。次いで、野球寮の暴力沙汰で対外試合を謹慎していた強豪PLが、大阪大会を順当に勝ち進み、8月1日、3年ぶり15回目の優勝を決めた。かくして、経緯は夫々だが、奇しくも85年の役者が顔を揃えた。
さらに、8月7日〜23日に甲子園で開催された選抜高校野球で、PLは大会4日目(10日)第1回戦で初出場の雪谷(東東京)を猛打で圧倒し、13:1で下して優勝候補どおりの実力を示した。ここまでは順調だった。ところが、大会9日目(16日)の2回戦、共に15回目出場の福井商業と対戦し、1点を争う接戦の末に、9回に2点をあげた福井商に2;4で惜しくも敗れてしまった。
そして8月23日〜9月2日に東京ドームで開催された都市対抗野球で、ニッセイは大会3日目(25日)の第1回戦で三菱重工名古屋(名古屋市)と対戦、息詰まる延長戦を戦い抜いたが、12回、勝越されて3:5で惜敗、快進撃の阪神タイガースを牽引役に頼んだ「大阪トリプルVの期待」はあえなく崩れ去った。
ボーイスカウト北大阪地区のキャンポリー
in
富山
自然を教室として学ぶボーイスカウトにとって、夏のキャンプは1年間のプログラムの集大成となる。今年は北大阪地区(
7月末〜8月月初のこの時期には雨は絶対にないと保証された
プログラムは原則どおり、スカウトの4つの年代別(ビーバー、カブ、ボーイ、ベンチャー)に分かれて行うが、ハイライトは合同でやる大集会。現地の小中学生を招いて一緒に屋台を楽しみ、「祭」でお互いにスタンツを交歓する趣向だ。
ボーイスカウトの特色は、子ども会を率いる父兄と異なり、同じ任意自発の父兄だが日本連盟が定める教育規定に沿った研修を終了した正規の資格取得者が、教育規定に沿って子どもたちをリードするシステムであろう。加えて、だだっ広いスキー場をキャンプ村に仕立て、居住区と活動区を設計し、電気(発動機)と水道を引き、重量設備の建設を行い、大量の食材の計算と購入、重量物の運搬と設営と撤収に至るまでの作業を、専門会社で請け負うかのようにやってのける。この技術力と見事なチーム力には、いつもながら感心してしまう。
今回救護班は、歯科医(団委員長・北大阪地区役員)とその知人の看護婦さんに特別にお願いした。延べ30人が救護室のお世話になり、内4人が病院に搬送された。この看護婦さんは、入室時から患者をよく観察し、脈を取りながら呼吸回数を数えられたらしい(そんな器用なことがよく出来るもんですね)。病院搬送の判断も迅速かつ的確で、合間に綿密な看護記録をつけておられ、「プロの技を見た〜」とは、歯科医の看護婦さん評。患者に一番近い臨床医は、実は看護婦さんということに改めて感じ入った次第。この寝食を忘れた看護のお陰で事無きを得た。
おわりに
85年(S60年)に優勝したPLのスーパー・ヒーローは、今巨人の桑田真澄・清原和博コンビである。同年に優勝したニッセイの佐竹政和(捕手)は、現在山形県の高校野球強化のためのスポーツ・アドバイザーを務めながら、NHKの春夏高校野球の常連解説者をしている。
8月10日、PLの第2回戦の応援のため、久しぶりに甲子園に出かけた。筆者には、今から40数年前の学生時代、同窓生が手配師の下で切符切りのアルバイトをし、近所の商家で家庭教師をし、その足で中高大の同級生宅によくお邪魔をしてはきつねうどんをご馳走になった思い出の地でもある。
敗戦チームがグラウンドの砂を記念にシューズ・バッグに詰め込んで球場を去る光景は、当時も今も変わらない。高校野球にとって憧れの甲子園は、結局、中学も少年野球も、日本列島すべての球児の目標の頂点となっている。阪神ファンとは、地域球団を越えた全国区の「甲子園ファン」
なのだろうか。[03年8月31日記]