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スキーは片脚ですべると良い
椿 正明 |
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大学を出て2、3年まで、山スキーのためにとしてゲレンデスキーをやっていた。ビブラム底の登山靴にカンダハー方式のビンディングという格好である。まだリフトは贅沢でせっせと歩いて登りながらシュテムクリスチャニアをものにしようとしていた。1日券などまだ夢の時代である。一向にうまくならない。俺には才能がない。あきらめて冬ももっぱら八ヶ岳や丹沢など山を歩くことにした。 50歳になって、「この頃は道具が進歩したから」というマインドリサーチ社の日野原さんの言葉がきっかけでスキーを再開することになった。たしかにプラスチックの靴は前傾を強制され、うまくなりそうな感触だった。暇がないので日数はかけられないが、1日券などがあり、昔よりは効率良く滑れる。少しづつ上達したが、いま一つ壁が破れない。谷スキーに完全に体重を乗せ切れない。こぶ、新雪、急斜面がうまくこなせなかった。 ところがひょんなところから、この壁が破れることになった。それはインラインスケートである。となりの藤沢市に境川という小さな川があるが、その土手にサイクリングロードがある。そこで運動のためインラインスケートを始めた。初心のうちは、右・左・右・左とすぐに脚を交代させバタバタと滑っているが、うまくなると長い間右脚や左脚に体重を懸けスーイスーイと滑れるようになる。その過程で自分の左脚がいかに弱いか、また左脚に体重を乗せるのをこわがっているかが分かった。直ぐに右脚に体重を移したがる。これがスキーにたたっていた。スキーでは左カーブのとき左山脚に体重が残りバランスを崩しやすかったが、これは早めに体重を右脚に移そうとして十分体重を移し切れないのが原因だった。インラインスケートにはもっと大きな効果があった。スキーは両脚で、斜滑降ー谷回りー斜滑降ー谷回りと滑るものと思いこんでいたが、これは間違いだった。スキーも片脚づつ斜滑降なしで滑ると良いのだ。真下を向いて、右、左、右、左と踏みつけ浅く制動を掛けながら下るのが一番安定しスピードもでることを発見した。今は流行のカービングスキーに変えたせいもあって、よほどクレイジーなコースを除いて思うまま滑れるようになった。 「死ぬときはマッターホルンの見える大斜面を思うまま滑っている姿を思い出しながら」という夢もかなり実現性を帯びてきたのでは、とそれを楽しみに仕事に励んでいる今日この頃である。歳ですか?還暦を過ぎてもう大分経ちました。 |