再び「道路標識」について          黒木 靖生
 

 3月号に「道路標識」なる一文を投稿しましたが、その続きです。  

 私の勤務する会社の本社は、渋谷区広尾にあります。ある日、所用で本社に出向き、帰りに広尾駅から地下鉄に乗りました。電車が来るまで時間があったので、何気なしに地下鉄の出口を案内している標識を見ましたら、「天現寺橋」の下に英語表示で「Tengenji-Bashi Bridge」と書いてあるのが目に入りました。このような標記をするからには、「天現寺橋」という立派な橋があることを想像します。確かに「天現寺橋」という橋は存在しますが、それは小さな橋で、「天現寺橋」という名前が有名なのは「天現寺橋交差点」という大きな交差点があるからです。従って、地下鉄の出口の案内も「天現寺橋」ではなく「天現寺橋交差点」、その英語表示も「Tengenji-Bashi Crossroad」とすべきではないかと思った次第です。  

 なお、「天現寺橋」という都バスの停留所もありますが、これも交差点の付近に位置しているので、「天現寺橋」というよりも「天現寺橋交差点」に由来しているものと思われます。  

 この「天現寺橋」で面白かったのは、MS-IMEで「てんげんじ」と入力して変換キーを押すと「天現時」と変換されることです。「天現寺」あるいは「天現寺橋」と書くべきところを「天現時」あるいは「天現時橋」と書かれた文章がインターネットにはたくさん掲載されているらしく、「天現時」で検索しますと766件もヒットしました。これは、私がインターネットで「天現寺」を検索しようとして誤って「天現時」で検索して気が付いたことなのですが、カナ漢字変換をして結果を確認しない人が多いということが分かりました。極めつけは港区のポータルサイトで、「区内の文化財」を紹介しているページに「天現時」と書いてあるのには、いささかビックリしました。  

 このように、私は道路標識などの英語表示を気をつけて見る癖が付いていますが、私の住んでいる千葉市稲毛区に「独立行政法人 放射線医学総合研究所(略称:放医研)」があります。その近くの信号機に日本語で「放医研西側」、英語表示で「Hoiken West」と書かれている標識が下がっているのを見て、「これは傑作!」と思ってしまいました。「West」と書いてあるからには、英語を理解する人々のための表示であると想像できますが、そのような人々が「Hoiken」という表示を理解できるか微妙なところです。だからと言って、放射線医学総合研究所の英語標記(National Institute of Radiological Sciences)の頭文字を並べて「NIRS West」と書いても、ほとんどの人は理解できないでしょう。一番いいのは、素直に「Hoiken Nishi」と書くことではないでしょうか。  

 これも所用で江東区の扇橋に行ったとき、扇橋の信号機に、日本語表示で「扇橋南」、そして英語表示(と言うよりローマ字表示?)で「Ogibashi Minami」と書かれてあるのを見て、スッキリした気分になりました。今までの例だと、「Ogibashi-Bridge South」、あるいは「Ogi-Bridge South」と書かれたでしょうから。(終わり)
 
05.3.30


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