[シリーズ投稿・枚方通信(その17)]
はじめに
このシリーズ投稿<枚方通信>の(その13)と(その16)で89歳の母の介護を報告した。昨年9月末、道端で転んで腰椎を圧迫骨折し、3週間の入院生活をしたのがきっかけで始まった在宅介護生活は、まもなく1年が経過する。多くの知人、友人から母の具合を訊かれるが、「当面小康状態、長期的には足腰の衰弱と痴呆が進む一方」と答えている。
転倒事故の再発を防止するため、手引(介助)なしで独りで歩くことを禁じたが、体調が良くなるとすぐ禁止事項を忘れて独り歩きをしては転倒を繰り返した。結局、この1年で4度転倒したことになるだろうか。その都度回復したのは驚異的だったがが、遂に勝手歩きの元気は失せた。いまや寝たきりではないが、ほとんどベッドの上の生活を余儀なくされている。おれでも週3回のデイケア通いを続け、その際の入浴を楽しみにしている。
殊更に報告する事項がないので、介護日記の一端を短歌調でお届けしたい。
介護日記(短歌調)
・介護3 認定下りて 畳部屋 電動ベッドの 病室となる
・外出と ゲートボールが 生きがいの 母電動の 床に臥しおり
・一番よし 二番もよしと 手を挙げて ベッドの母は 今もグランド
・見舞い客に 今もスティック 持つと言い
ベッドの母は 誇らしげにも
・週3回 デイケアからの 出迎えを 2時間前から 待ちかねる母
・亡き父に 手向ける線香 畳焦がし また禁じ手の ひとつになりぬ
・昼と夜 つけっぱなしの テレビジョン 母に寄り添う 友となりしか
・わが母は 戦前・中・後 戦いて いまや白衣の 傷病兵
・遠距離の 甥から電話 見舞いあり 華やぐ叔母の 声に戻りぬ
・東北の 息子一家の 帰省のため 母は特養 短期入所に
・老いた母の 腕を支えて 歩む床 掛け声あわすも いとたどたどし
・八十九 母の息子は 六十六 いまや仲良き 姉弟(キョウダイ)となる
・朝起きは オムツ替えから 寝る前は 鼻に管入れ 痰とる介護
・呆けゆく 母を諌めて 育んで わが妻そのまま 実母となれり
・わが母の 介護に疲れし 妻おいて 夏のキャンプに 我出発す
・サンチアゴの 巡礼の旅 行ってこいと 許す妻にも
・優しさの 足らない夫(ツマ)に 物言わぬ 妻に恥じ入る
・転倒と 腰痛・床ずれ 痴呆が敵(カタキ) 戦う妻の 解放はいつ
・母と妻の 安寧安息 あれかしと ロザリオ繰りて 被昇天祭
おわりに
五七五・・の定型を踏む努力をした積りではあるが、事実の列挙に過ぎず歌になっていない。にもかかわらず最後までお読みいただき深謝。
(05年8月31日記)
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