[シリーズ投稿・枚方通信
(その21)  

 大阪・天神祭で「神戸大学学友会・奉拝船」に乗船しました

                 
  丸中 正量

 はじめに
 

 「日本三大祭り」の一つと言われ、大阪の夏本番到来を演出する「天神祭」は、大阪天満宮を中心にして毎年72425日の両日開催される。人込みに出かけることがほとんどない私も、今回、思い切って出かけた。それは、母校の神戸大学が4年前に 大阪府 内の大学に先駆け、県境を越えて大阪・天神祭の奉拝船を出航するようになり、4回目の今年も学長以下首脳陣も参加して盛り上げると聞き及んだからだ。

 「天神祭」のイベントとハイライト
  

 「天神祭」は、菅原道真公を神霊と祀る天満宮が毎年その神霊を出迎え奉祝する神事と、氏子と氏地の平安を祈念するために行幸する<陸行列>と<船行列>の祭事で構成される。724日の宵宮と25日の本宮がセットになったものだが、中心は25日の本宮。その中でも「船渡御(ふなとぎょう)」と呼ばれる<船行列>が、水の都・大阪にふさわしいハイライトであろう。夕刻から大阪市の中心部を流れる大川(天満川とも呼ばれる、旧淀川)で約100隻の船団がパレードをし、2,000発の奉納花火が夜空を焦がす。大川の両岸の岸辺、そして大川を跨る橋の上に鈴なりになる見物客が今年は855千人と報道された。 

「天神祭」のイベントをタイムスケジュールで整理したものが下表(*)である。ハイライトは午後6時ごろから約2時間かけて行われる水のイベント(黄色)。  

24日の
イベント

概         要

25日の
イベント

概       要

4:30

打ち出し

夜明け前、天満宮の境内に組まれた樽の上で催し太鼓の一番太鼓と、続く地車(ダンジリ)囃子の一番鉦(かね)が祭りの開始を告げる。大門が開門

14:00

本宮祭

氏地・氏子の平安を祈る神事

7:45

宵宮祭

本殿で氏子の無病息災と、続いて行われる鉾流(ほこながし)神事の無事が祈願される

14:40

神霊移御之儀

神霊移御之儀が夏大祭の中心、神霊を
御鳳輦(ごほうれん)に移す神事

8:50

鉾流(ほこながし)
神事

鉾(ほこ)に託して穢れを祓うとともに、年に1度、神が氏地に巡見される神のお出ましを奉祝する。高張提灯、先仏金棒を先頭に、神童を前にして約300人の渡御列が催場に向かう。水無月の祓い、そして神童の手により鉾流橋の水上から鉾を流す。厳かな神事が続き、祭りの開幕が告げられる(この部は大川の下流の堂島川で行われる)

16:00

陸渡御(りくと
ぎょう)

催太鼓を先頭に猿田彦、神鉾、地車と続く3000人の大行列・陸渡御(大阪天満宮→船着場の天神橋までの4km)。
行列は、豪快な催太鼓が先頭の第1陣に続き、のんびりと雅やかな御羽車や神霊をのせた御鳳輦のある第2陣、 行列のクライマックス鳳神輿、玉神輿の第3陣で構成される

16:00
氏地巡行

大阪天満宮を出た獅子舞、催太鼓が氏地を巡る。
獅子舞は傘踊り、四つ竹とともに繰り出す。催太鼓も当屋(とや)から担ぎ出され、巡行へ

18:00

船渡御(ふなと
ぎょう)

菅原道真公を祀る神霊を乗せた御鳳輦船などの奉安船や各講社の供奉船を含む船団は、天神橋を発進して大川の上流へ。逆に神霊を迎える奉拝船団は、飛翔橋から大川を下る。双方合わせて約100隻。天神橋→飛翔橋の片道3.5km、往復7km2時間かかる

19:00       

宮入

氏地巡行を終えた獅子舞、催太鼓が大阪天満宮に戻る。境内では昼間から続いていた地車囃子のリズムに乗って龍踊り

19:00

水上祭

大川の中程の御鳳輦船の上で荘厳な神事「水上祭」が始まる。他の舞台船では神楽、能楽、郷土芸能などが上演される。祭りのクライマックスは川の両岸からは打ち上げられた花火2000

 

 

22:00

宮入り・還御祭(かんぎょうさい)

陸にあがった大行列は、一路天満宮へ。
天神祭もいよいよフィナ−レ。先に宮入りした催太鼓と元気に「大阪締め」をして、大行列は次々と天満宮へ飲み込まれていく。すべての宮入りが終わるのは22時すぎ。
本殿では神事である「還御祭」が行なわれ、2日間の熱い祭りの幕が下ろされる

天神橋筋商店街(1丁目から7丁目まで南北2.6kmに及ぶ日本一長い商店街は、天満宮の 門前  町 )の資料を借用して作成した

 「船渡御(ふなとぎょう)」

「船渡御(ふなとぎょう)」に参加する船には4種類あり、二手に分かれて航行する。まず、主役の神霊を乗せた御鳳輦(ごほうれん)船等の@<奉安船>と、催太鼓船や地車囃子船など神霊に仕えるA<供奉(ぐぶ)船>。この@Aは、天神橋を起点にスタートして大川の上流を目指し、天満橋、川崎橋、桜宮橋(銀橋)、源八橋、飛翔橋の5つの橋をくぐって約3.5kmの距離を航行し、飛翔橋をくぐると、Uターンして元来たルートを引き返す。

協賛団体、企業や自治体が繰りだすB<奉拝船>は、上流の飛翔橋を起点とし、天神橋で反転する、前項とは逆のルートをとる。

 

種類

説明

 主なもの

運営主体

@

奉安船

道真公の神霊と道具類を奉安する中心の船

御鳳輦(ごほうれん)船、御羽車船、鳳神輿(おおとりみこし)船、玉神輿船           

米屋、酒屋などの同業者や地縁関係者が祭りの様々な役割を担う講(又は講社)を結成して祭りを支える。現在32講ある

A

供奉船

行幸の行列のお供をして行列を盛り上げる

催太鼓船、御旗船、篝船 ≪舞台船≫神楽船、
能船、囃子船

(下線の船は、渡御せずに定着して神楽等を奉納する)

B

列外船

@Aの船団から離れ、雰囲気を盛り上げるために自由に航行する

どんどこ船、人形船、落語船

C

奉拝船

行幸を出迎え、慎んで拝む

鯛船、梅風講供奉船、 大阪府 奉拝船、大商供奉船

協賛団体、企業、
学校や市民船など

この船行列はかって200隻にのぼった時期もあったそうだが、現在は警備上の都合で総計100隻程度に制限されている。@A計約50隻の行列をBの約50隻が出迎え、約1万人がこれらの船に乗船し、両岸や橋の上から85万人がこれを見物するという構図である。

分類

主なもの

分類

主なもの

自治体等

市市会、下水道、領事団、市民船、

大企業

NTT、サントリー、日清食品、帝国ホテル、

業界

大阪商工会議所、門真JC、
小売市場、鯛船、協賛船

サービス業

阪神百貨店、近畿百貨店

新聞社

朝日、読売、産経

学校

阪大、関大校友会、追手門学院、
神大学友

夕刻6時のスタートのため飛翔橋に行くと、「平成18年天神祭船渡御乗船案内図」なる奉拝船の看板が立っており、約50隻の船名を認識できた。

 
 
  
平成18年・天神祭船渡御乗船案内図
 

協賛団体や企業などが出航する<奉拝船>の総数が制限されている中、新たな出航の希望をしても直ぐに承認されるものではない。その中で4校と少数ながらここ4年以内に学校船が現れたこと、また僅差ではあるがわが母校の神戸大学がその先陣を切ったことは特筆できよう。これには、神戸大学学友会の幹事で、かつ天神祭りを支える講社のキーマンでもあるD氏の並々ならぬご尽力に負う所が大きい。経営不況や社会的不祥事発生等による奉拝船辞退があったことは言うを俟たない。

大規模の大学では、本来全学部(連合)同窓会組織と活動は成り立ち難い。合併の歴史を繰り返し、自ずからキャンパスが多サイトに分散している総合大学という点では神戸大もその例外ではないが、比較的早くから学友会(学部横断同窓会)の組織化と活動の取り組みをしてきたのももうひとつの大きな要素と言えないだろうか。

神戸大学・学友会船と他大学船のエール交換

学校船の進出については、菅原道真公を祀る「学問の神様」として有名な天満宮の祭りに参加することにより、少子化の影響大の「受験生獲得などに学校をPRできる」と4大紙が分かりやすく報道している。わが神戸大学も他の国立大学同様、2004年、交付金削減を目的として国の直轄から独立法人に移行させられた。この危機感を背景に個性豊かな学校事業の創出に腐心している。従来からの国際化路線のなお一層の推進や、さらには200310月、神戸商船大学との統合と海事科学部創設による新しい航路の模索がある。他校も夫々の広報戦略があろうが、「学校のPR」と「全学(OBも含む)の一体感の醸成」といったところが共通の狙いと思われる。

学校

本部所在地

参加年度

運営主体

参加のきっかけ

神戸大学

神戸市

2003

学友会
(=校友会)

国際校の推進、神戸商船大との統合、
国立大の独立法人化、学友会の結束強化

追手門学院

茨木市  
大阪府

2004

大学

創立120周年記念(大学は開学40年)

大阪大学

吹田市  
大阪府

2005

大学

中之島地区が発祥の同校創立70周年記念、
同窓会連合会発足(組織化)

関西大学

吹田市
大阪府

2006

校友会

西区江戸堀が発祥の同校創立120周年記念

奉拝船に乗船してから出航まで1時間程度の待ち時間がある。この間特製弁当と飲み物で早めの夕食をとりながら、全行程のオリエンテーションを受け、船同士がすれ違う都度、又は船から岸辺や橋の上の人々への挨拶の独特の作法、「大阪締め(手打ち)」を練習した。また、この間を利用して艀渡しと言うべきか、異船間で三大学の学長同士のエール交換が実現したのはビッグ・サプライズであった。


 
  関大船上でのエール交換
 
左から、神大・野上学長、関大・校友会   会長、阪大・宮本総長、関大・河田学長
 

 
 神大船全景〜前列左から二人目は野上学長
 
 

「船渡御」のハイライト

 川の中の篝船や両岸の篝火や提灯が明々とともる頃、船団が動き始める。篝火、提灯、照明、太鼓、小船の漕ぎ手、きらきらときらびやかな川面、人、人、人、囃子、船同士・ヒト同士の「大阪締め」、夫々が無秩序のヒトやモノが妙に調和している、神の掌の上でみんなが遊んでいるのか、やがて空からの花吹雪、動く先々で花火、これが日本の平和の夏か。と夢想している間に2時間が吹っ飛び、下船の時間となった。真後ろの席に同期生のNさん(工学部出身)夫妻がおられるのは出航前に気付いていたが、何と娘さんと仏人の婿さん、そしてフランスからの両親、計6人の国際家族連れということを改めて知った。


 
  海事科学部生名と激励する野上学長
 

 
 海洋科部生が船の運航中、ボ衛士として奉仕
 

おわりに

参加申込みのときは、正直、乗車時間2時間で3.5万円の費用は、(どんなイベントより、相撲の桝席と比較しても)高い、しょうがないから営業協力費の積りにしよういう気持ちだった。しかし今、率直に訂正する。あの船と、川面に真近に見る、夜空に咲いては消える光の花々。爆発、燃焼、、空気の振動、鮮やかな色彩、どれもが人の原始の感情を刺激し、人を感動させる。対価の計算のしようがないと思うほどである。06731日記)

追伸:中谷正司(S37年法学部卒)、段野治雄(40年経済学部卒)の両氏に特に感謝申し上げます。常日頃の学友会活動と今回の天神祭りの企画運営に加え、このレポート作成の際には貴重な情報並びに写真を提供していただきました。当方の能力と時間不足のため、多くの死蔵部分が出たことをお詫びします。


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