「食べ方でリラックス」         田中 賢栄 
 
 

 中島誠之助さんをご存知でしょうか? 「何でも鑑定団」で有名な骨董屋さんです。娯楽番組の中で、すし屋で中トロを食べる時に、「あたしゃ、トロ食べる時には、数週間前から”油”抜きをするんですよ。」と言ってました。なるほど、油を抜くということは、トロの”トロらしさ”を確認するために重要な儀式なんだ、と感じさせる口ぶりでした。「高いトロだから、その美味しさを際立たせるために、自ら試練のようなことをする」、このこだわり姿勢には、驚かされました。
 

 私の場合をご紹介します。すし屋に食べに行くのは多くないのですが。意識的にすし屋に行く時は、志賀直哉の『小僧の神様』を読んでからいくことにしています。ご存知の通り、秤屋の小僧がすし屋で恥をかいたのを気の毒に思って奢るという話なのですが、いつも小僧に感情移入してしまいます。  

 「食べてリラックス」というのは、飽食の時代には難しいことですが、1ヶ月に1回食べるか食べないかというご馳走であれば、食べる過程で”一握り”くわえてみるのも面白いかと思います。


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