半隠居、気功、ブラウン運動         辻 淳二  
 
  
 特集テーマが来て先ず思ったのは、「リラックス/ストレス解消術として、とっておきの話は、自分にはないな」ということだった。この背景に、人並みにストレスはある筈だが、65歳を過ぎた年の功なのか、近年は「ストレスと意識する感度が鈍くなっている」ことがあるようだ。そこで、「ストレスをかわす暮らし方こそ、ストレス解消法」という筋もあるなと気が付いて、この切り口から稿を書くことにした。自分にとって、「これがそうなのだろうな」と思い当たるものを3つ記そう。そして、これからはより意識してこれらを活用し、リラックスして暮らすのに役立てることにしようと思う。  

 その一: 「半隠居」

 私の場合、60歳になった時点で、「専門職型なのだから、そういう選択もありだな」と気が付いて、仕事に投じる時間を週に3日程度に、つまり「半隠居」(昔、こういう言い方があったらしく、自分では何となくこの言い方が気に入っている)ペースに切り替えた。「結果的に、これは正解だった」と自分では思っていて、その効用の一つとして「“自分をジリ貧に追い込む”ことが原因のストレスが減った」ことを感じている。「平均的に週3日程度」とは、曜日を固定して仕事をしている形ではなく、先が見えない状態の案件がある週はフルに、逆に決まったことをやればいい週はかなり気侭に、という形の働き方である。全体的に時間にゆとりがあるので、ストレスになり兼ねない案件を“大筋を見通せる”所までは前倒しに、という進め方ができる。結果として、これがベースとなって、「暮らし方全体がフットワーク良く、プラス指向型になる」という好循環をもたらしてくれている。  

 その二: 「気功」

 第2は、30年来の知人で当研究会にも繋がりのあるKさん夫妻が「健康気功教室」を開いている縁から細く長く(約5年)続けている「気功」である。私の場合は、「体感的に痛いとか疲れる/だるいとかの物理的な不具合があって、気功をするとそれが直る」タイプではなく、気功をした後しばらくは気持ちがいいという効用以上ではないため、何か事情ができると中断してしまい、「ただ、やめないでいるだけが取り柄」の生徒というのが実態である。ただ昨年から、慢性肝炎の進行を平均的な速さの半分くらいにスローダウンするのに漢方と合せて気功を活用することにしたので、これまでになく“継続”の体勢に入っている。さらに今年からは、Kさんの教室では「動功」と「静功」の2つの気功を日々やることを奨励しているのに私の場合は“両方やるのはとてもとても”という感じだった段階から、“両方を継続”へと踏み込んでいる。
  Kさんのレクチャーによれば、「ヨーガなどの東洋の健身術には、リラクゼーション効果がある。この効果の秘密は、横隔膜と脳の関係にある。筋肉が伸展すると、筋肉内のセンサー(筋紡錘)から脳の呼吸中枢/視床下部にインパルスが送られる。横隔膜も一種の筋肉で、そうしたセンサーを備えている。当教室で教えている動功は、ゆっくりと時間を掛けた深く大きな呼吸で横隔膜を動かすので、筋紡錘から出されるインパルスが多く、視床下部への影響が強い。そのため、(浅く速い呼吸のエアロビクス等より)リラクゼーション効果が大きい」とのことである。もともと、上記のようなレベルの私ながら、継続できている方の動功では、リラクゼーション効果は感じ取れている。このレクチャーは、その上に、「もし静功も継続できれば、さらなる効果が期待できる!」ということ。それで、これが私の次なる「ストレス解消術」になるのを楽しみに、継続に努めようとしている。

 その三: 「ブラウン運動」

 もう一つ、仕事の中で手詰まり状態と感じた(ちょっとしたストレス感)時に、その解消のために採っている行動を記そう。それは、職場の席からブラリと抜け出したり、出先から職場への帰路を利用したりで、喫茶店や公園や美術館などへ立ち寄ることである。最近は、それが結構頻繁になっている。多くは、思索したい/資料にまとめたい等の心に掛かっている案件があって、それがスッキリと進まない、というような状況の時なので、関連の資料や思索過程のメモをポケットに入れて出掛けるが、よほど期限が迫っている場合以外は、そこでそれらを取り出すことはない。コーヒーを飲んだり花や絵を見たりして、淀んでいた思索の流れを断ち切り、何か一つ二つ、戻ってから思索や作業に取り掛かる際の切り口が浮かんでくるのを待つ。これは、割に有効なリラックス法になっているようで、その後の前進に繋がっているとの手応えがある。頭の中がモヤモヤになっているのがストレス状態で、この動きが、その状態を気持ちの面から修復する作用をしてくれているのだろう。[05.1.29]                              〜 以上 〜


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