「経営と情報通信」研究会の閉会に当って
    椋樹 覚



 
「経営と情報通信研究会」が閉会すると聞き、最近社内報に寄稿した「節目」という表題の原稿を思い出しました。

 仏教では世の根本原理を“諸行無常”で表現していると聞く。この世の存在はすべて、姿も本質も常に流動変化するものであるという考え方である。
 さて、この世の“無常”の流れに身を置くと、しばしば不連続な「節目」に出合う。その「節目」には、@「周期的な節目」(年・月・週等)、A「予定された“状態遷移”となる節目」(誕生、入学、就職、結婚、定年等)、B「突然の“状態遷移”となる節目」(思わぬ幸運や災難等)が存在する。
 仏教では“無常の存在”である人や物への執着を捨てることを勧めているそうだが、利を競い“煩悩”にとらわれた(凡)人(&その集団)にとっては、この「節目」にいかに対処するかで、その後の運命が左右される。そのためには以下のような“心がけ”が必要だろう。
 「周期的な節目」については、実績と反省を踏まえながら、次の周期でのレベルアップと新たな変動要素への的確な対応を図ること。
 「予定された“状態遷移”となる節目」では、@新たなステージで有効なものの選別、A不足している知識・能力やリソースの獲得、B事前準備、C環境に適応しようとする姿勢、D目標の設定と挑戦する覚悟、等々。
 「突然の“状態遷移”となる節目」では、思わぬ幸運等の「プラス・ステージへの遷移」と、思わぬ災難等の「マイナス・ステージへの遷移」で考え方が異なる。
 前者では、@運・チャンスを逃さない機敏さ、A勢いの持続、B緩み・傲慢に対する戒め、Cやがてやってくる反動への準備、等。
 後者では、@リスク等への日頃の準備、A一時的、部分的な痛み・苦しみに耐える覚悟、B未来に対する希望と諦めない気持ち、C助け合う心、D当面の目標を定めて、一つ一つ良い方向に向けて解決していく地道な努力、等が肝要。


 以上は原稿の一部ですが、今自分を取り巻く環境を見渡すと、いたるところで「節目」に遭遇していることに気付きます。個人的には一部「マイナス・ステージへの遷移」にも直面しており、もっともらしいことを書きながらも現実での対処はなかなか思うようにはいきません。
 「@リスク等への日頃の準備」では、準備のやりようが無いものがあり、「A一時的、部分的な痛み・苦しみに耐える覚悟」では、皆が皆そのような気持ちになれるものでもなく、「B未来に対する希望と諦めない気持ち」では、ともすれば悪いシナリオが頭に浮かび、「C助け合う心」では、些細なことで疑心暗鬼になりがち、「D当面の目標を定めて、一つ一つ良い方向に向けて解決していく地道な努力」では、本当にこれで展望が開けるのかと迷いが生じる等々…。

 これが“凡人”の現実ですが、当研究会の皆さんのように、数多くの困難な局面で笑顔を忘れず克服してこられた(ように拝察できる)方々を見習いたいものです。

 さて、この「経営と情報通信研究会」も、いよいよ閉会という最後の「節目」を迎えることになりました。あまり貢献してきませんでしたが初回から研究会の恩恵を受けてきた者として、閉会を耳にしたときは、ひとつの時代が終ったのだという感慨を覚えました。同時に、中心となって活動してこられた辻さん、及びそれを引継ぎ支えてこられた物故者の方も含めた関係者の皆様に対し、感謝の気持ちが込み上げてきました。既に新ホームページの立ち上げについていろいろと議論されておられるようで、今回は「予定された“状態遷移”となる節目」ということかと思いますが、既会員の熟年化等を踏まえた「新たなステージへの遷移」になるものと期待しています。私も、相変わらず貢献度の乏しい肩身の狭い会員かもしれませんが、継続して参加させていただきたいと思っています。 [2007.12.20] 
 
(標記はペンネームです。)


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